チャンピオンズリーグのレバークーゼン戦に先発したマンチェスター・ユナイテッド香川真司だが、今季リーグ戦ではいまだ出場はなし。また、マンUは身長194cmの大型MF、マルアヌ・フェライニを獲得しており、香川のライバルはさらに増えている。

 今季からマンチェスター・ユナイテッドの指揮を執るモイーズ監督は夏の移籍市場でトップ下の補強を掲げたが、候補選手を次々に獲り逃した。セスク・ファブレガス(バルセロナ)へ出したオファーは実らず、ダニエレ・デロッシ(ローマ)、ウェスレイ・スナイデル(ガラタサライ)にも触手をのばしたが、獲得できたのはフェライニのみ。現地メディアは「補強失敗」として、「クラブはスポンサーばかりを増やし、選手獲得をおろそかにした」と批判している。

 今夏、マンUの商業部長から経営責任者へと昇格したエド・ウッドワード氏は、マーケティング部の人員を東アジア遠征に帯同させたが、それは日本でも成果をあげ、カゴメと万田発酵とスポンサー契約。すでに関西ペイント、ヤンマー、GLOOPS、東芝メディカルシステムズ、セイコーエプソン株式会社もスポンサーであり、日本企業が増え続けている。スポンサー獲得面での香川の貢献度はかなり高いといえる。

 今後、香川に出場機会があるとすれば、サイドMFかトップ下だが、MFにはダニー・ウェルベックやアシュリー・ヤング、ナニやライアン・ギグスがいる。また、トップ下でライバルとなるルーニーとフェライニは、モイーズ監督が好む力強さ、得点力、守備力を兼ね備えており、モイーズ構想の中で香川の立場はまだまだ微妙である。

 それでも、英スカイスポーツが「フェライニの空中戦の強さは一級品だが、マンUがゴール前で求める創造性には欠ける」と分析するなど、香川が試合でもチームに貢献できるチャンスは十分にあるはずだ。

藤井重隆●文 text by Fujii Shigetaka