レアル・マドリーの新指揮官はパリ・サンジェルマン（PSG）のカルロ・アンチェロッティ監督ではないのかもしれない。PSGは自らの権利や誇りを守って譲らず、レアルのフロレンティーノ・ペレス会長はプランＢに移行したようだ。バイエルン・ミュンヘンのユップ・ハインケス監督である。

ハインケス監督というプランＢには、２つの大きな利点がある。勝者の指揮官であることと、フリーであることだ。

レアルはかつて、ビジャレアルからマヌエル・ペジェグリーニ監督を引き抜くのに400万ユーロ（約５億2000万円）、インテルからジョゼ・モウリーニョ監督を引き抜くのに1800万ユーロ（約23億5000万円）を支払っている。だが、ハインケス監督を手に入れるのにコストはかからない。

また、今季のチャンピオンズリーグ（CL）でバルセロナに２戦合計７−０と勝利し、大会を制した同監督が就任するなら、誰も文句はないだろう。

ペレス会長はスペイン『カデナ・コペ』で、「アンチェロッティがレアルからオファーを受け取ったと言うことはできない。なぜなら、実際にそうじゃないからだ」とコメント。「2005年、2009年とカルロの招へいを望んだ。今回は、PSGとの契約が満了すると聞いていたが、そうではなかった。アンチェロッティ以外にも監督はいる」と話している。

PSGのナセル・アル＝ケライフィ会長は、PSGがもはやサッカー界のビッグクラブになったことを示したいと望んでいる。これはそのためのビッグチャンスなのだ。レアルとの交渉を受け入れず、一部選手とのトレードを含めるというアンチェロッティ監督の提案も受け入れなかった。受け入れるのは、ペレス会長が違約金の800万ユーロ（約10億4000万円）を払うときだけかもしれない。

その場合、レアルは屈した上でお金を払わなければいけないのだ。二重の痛手だ。それならば、デシマ（10度目の欧州制覇）に向けて、今季のCL覇者の方が良いだろう。