バナナ、カロリーメイトより吉野家の満足度が高い

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■牛丼と比べると牛鍋丼は肉が少ない!

【3月某日(月)】晴れ。都内有数の高級住宅地・成城学園前へ取材に向かう。約束は昼過ぎなので、一駅手前の祖師ヶ谷大蔵で降り昼食にする。セレブの街でランチである。とはいえ、予算は300円。企画を立てた若手Qの魔術のような早口がよみがえる。

「東京のサラリーマンは昼食に1000円近くをかけているといいますね。おかしいと思いませんか。ボクの田舎ならみんな仕事場へ弁当をつめていきますから、昼めし代なんて原価100円でお釣りがきます。残りものをつめたらゼロ円です。そこへ1000円もかけるなんて異常です。お子さんの学費とか考えたことがありますか? ないでしょう。ふふん。いまの40代はこれだから困ります」

Qはこうまくしたて、唐突に続けた。

「300円でいきましょう。これだけあればまともなものが食えますよ。お腹まわりも気になりだしたでしょ? 1食550キロカロリーもあれば十分です。どうです、1週間。ダイエットにもなりますし」

駅前通りをさまよい、目についた吉野家に入ってみた。メニューを確認すると、看板商品の牛丼は380円だが「牛鍋丼」なら280円だ。

さっそく「並」を注文。豆腐やシラタキが入っている分、健康的かもしれないが、牛丼と比べるとあからさまに肉が少ない。肝心の牛肉も、牛丼のものより若干硬いような気がしたのは被害妄想だろうか……。

【3月某日(火)】カロリーメイトとソイジョイ、1本満足バーという代表的な栄養補助食品を試してみた。

スーパーで買ったので3種類4本(カロリーメイトのみ2本)で320円と予算を超過したが、ディスカウント店なら300円未満に収まるはずだ。ただし、カロリーのほうは合計しても521キロカロリーにしかならず、これだけでは午後になるとさすがにひもじい。

意外だったのは、見るからに乾パンじみたカロリーメイトが、乾パンとは違いそれなりに美味だったこと。平時はともかく、非常食にはよさそうだ。

【3月某日(水)】298円で高級バナナを1房(5本)買う。1房98円の安バナナなら300円で15本も買うことができるのだが、つい贅沢をした。

誤算だったのは、バナナが驚くほど低カロリーだということだ。ネットで調べると、5本合わせても400キロカロリーほど。「550キロカロリー以上」の条件を満たすには7本も食べなければならない。だが、あれだけかさばるものを、いっぺんに何本も食べられるわけはない。現にこの日は、昼時に2本、午後3時に2本の4本をどうにか完食したが、それでも320キロカロリーにすぎなかった。

これはつらい。満腹なのに飢餓感が強いのだ。夕方、スナック菓子に手が伸び、ついつい食べすぎてしまった。

【3月某日(木)】そろそろまともなものを食べたい。100円玉3枚を握り締めセブン−イレブンを覗いてみたが、たいていの弁当は300円以上。あれこれ迷った揚げ句、値段とカロリーを計算し、おにぎり1個とカップ麺とゆで卵を買うことにした。さすがにうまい。

【3月某日(金)】妻の気まぐれで、ときどき手づくり弁当を持たされる。無料ではない。1食300円。代金を徴収しつつ「こんなに安くておいしい弁当はないはずよ」と威圧するのはやめてほしいが、味のほうはまずまずだ。

この日のメニューは、ほとんどが前夜の残りもの。ということは、原価を計算すればQの言うごとく「ゼロ円」に近い。予定調和のようで恐縮だが、あれこれ考え合わせると、満足度は手づくり弁当が最も高いということになるのである。

(プレジデント編集部 面澤淳市=文)