セも指名打者?
セリーグが今季、予告先発制度の導入を検討していることは先日も紹介したが(http://blog.livedoor.jp/yuill/archives/51646857.html)、合わせてレンタル移籍制度、指名打者(DH)制度、独立リーグへの選手貸し出しなども協議していることがスポーツニッポン紙の取材で明らかになった。
指名打者とは、公認野球規則にもとづき攻撃時に投手に代わって打席に立つ、攻撃専門の選手のこと。わが国のプロ野球ではパリーグ、米メジャーリーグではアメリカンリーグで採用されている。
DH制度が誕生したのは、1973年。オークランド・アスレチックスのチャーリー・O・フィンリー当時オーナーが前年、アメリカンリーグ全体の人気の底上げを目的に導入した。
最初の指名打者は、ニューヨーク・ヤンキースのロン・ブルームバーグ。「打つだけ打ったら、後は座ってろ」とのエルストン・ハワード当時コーチの適切なアドバイスのもと、ブルームバーグは押し出し四球を選んだ。
以来アメリカンリーグでは、エドガー・マルティネス、ハロルド・ペインズ、ハル・マクレー、トミー・デービス、ポール・モリター、デビッド・オルティーズなど、グローブを持たない打撃の専門家を数多く輩出してきた。
わが国も、アメリカンリーグの2年後の1975年に導入。わが国で初めて指名打者として打席に立ったのは、日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)の阪本敏三だった。
そんなDH制度だが、わが国ではパリーグとセリーグ、アメリカではアメリカンリーグとナショナルリーグとの間で、賛否が分かれる。
反対派は、「野球は9人でするもの」という大前提を振りかざし、「打力が劣る投手を打順に加えることで、監督には攻撃にくふうが求められる。DH制度は、野球の戦術性を損なう」と主張する。
賛成派は、「投手を打席に立たせることこそ、戦術性に欠ける」と反論。実際、チャンスの場面で投手に打順が回ってくれば、監督は、早い回であればバントを命じ、遅い回であれば代打を送るというのが定石だ。投手に代打を送った次の回には、代打を下げてリリーフを送るか、リリーフを一番遠い打順に置いて代打をそのまま守備につかせるか、のどちからだ。
アメリカン・ナショナル両リーグでワールド・シリーズ優勝監督になったトニー・ラルーサ前セントルイス・カージナルス監督も、DH制度を支持。「アメリカンリーグでは、次の打者に誰を投げさせるか、次の回に誰をマウンドに送るかという判断に従って投手起用を決めなくてはならない。しかし、ナリーグでの投手交代のタイミングは、監督が考えるまでもない」としている。
ここで賛否を決定するつもりはないが、DH制度が投手の成長にも少なからず影響を与えていることは見逃せない。
わが国の沢村賞は毎年12球団から1人選出される投手のタイトルだが、2001年からの受賞を振り返ると、パリーグが8度(2001年松坂大輔、2003年斉藤和巳、2005年杉内俊哉、2006年斉藤和巳、2007年ダルビッシュ有、2008年岩隈久志、2009年涌井秀章、2011年田中将大)に対し、セリーグは4度(2002年上原浩治、2003年井川慶、2004年川上憲伸、2010年前田健太)にとどまっている。
2003年は井川と斉藤のダブル受賞になったが、2010年に前田が選出されるまで5年間、沢村賞の受賞はパリーグが続いていた。
これは、選考に10試合以上の完投、200イニングス以上の投球回、150個以上の奪三振といった基準があるためで、試合状況に応じてマウンドをリリーフに譲るセリーグの投手には不利だ。
また、2009年に行われた第2回WBC(World Baseball Classic)の日本代表チームを見回しても、投手陣にはダルビッシュ、田中、涌井、岩隈、杉内、小松聖、渡辺俊介と、パリーグの先発投手陣がずらり。セリーグからも、岩田稔、内海哲也が選ばれたが、どちからと言えば藤川球児、山口鉄也といったリリーフ陣に注目が集まった。
投手が打席に立たず、代打による途中交代のないパリーグでは先発投手、代打で投手が交代するセリーグでは中継投手が成長しやすい傾向が、改めて明らかになった。
はたしてセリーグでもDH制度が導入されるかは、まだ不明だが、採用された際には、セリーグ先発投手の巻き返しとなるのか。
最初の指名打者は、ニューヨーク・ヤンキースのロン・ブルームバーグ。「打つだけ打ったら、後は座ってろ」とのエルストン・ハワード当時コーチの適切なアドバイスのもと、ブルームバーグは押し出し四球を選んだ。
以来アメリカンリーグでは、エドガー・マルティネス、ハロルド・ペインズ、ハル・マクレー、トミー・デービス、ポール・モリター、デビッド・オルティーズなど、グローブを持たない打撃の専門家を数多く輩出してきた。
わが国も、アメリカンリーグの2年後の1975年に導入。わが国で初めて指名打者として打席に立ったのは、日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)の阪本敏三だった。
そんなDH制度だが、わが国ではパリーグとセリーグ、アメリカではアメリカンリーグとナショナルリーグとの間で、賛否が分かれる。
反対派は、「野球は9人でするもの」という大前提を振りかざし、「打力が劣る投手を打順に加えることで、監督には攻撃にくふうが求められる。DH制度は、野球の戦術性を損なう」と主張する。
賛成派は、「投手を打席に立たせることこそ、戦術性に欠ける」と反論。実際、チャンスの場面で投手に打順が回ってくれば、監督は、早い回であればバントを命じ、遅い回であれば代打を送るというのが定石だ。投手に代打を送った次の回には、代打を下げてリリーフを送るか、リリーフを一番遠い打順に置いて代打をそのまま守備につかせるか、のどちからだ。
アメリカン・ナショナル両リーグでワールド・シリーズ優勝監督になったトニー・ラルーサ前セントルイス・カージナルス監督も、DH制度を支持。「アメリカンリーグでは、次の打者に誰を投げさせるか、次の回に誰をマウンドに送るかという判断に従って投手起用を決めなくてはならない。しかし、ナリーグでの投手交代のタイミングは、監督が考えるまでもない」としている。
ここで賛否を決定するつもりはないが、DH制度が投手の成長にも少なからず影響を与えていることは見逃せない。
わが国の沢村賞は毎年12球団から1人選出される投手のタイトルだが、2001年からの受賞を振り返ると、パリーグが8度(2001年松坂大輔、2003年斉藤和巳、2005年杉内俊哉、2006年斉藤和巳、2007年ダルビッシュ有、2008年岩隈久志、2009年涌井秀章、2011年田中将大)に対し、セリーグは4度(2002年上原浩治、2003年井川慶、2004年川上憲伸、2010年前田健太)にとどまっている。
2003年は井川と斉藤のダブル受賞になったが、2010年に前田が選出されるまで5年間、沢村賞の受賞はパリーグが続いていた。
これは、選考に10試合以上の完投、200イニングス以上の投球回、150個以上の奪三振といった基準があるためで、試合状況に応じてマウンドをリリーフに譲るセリーグの投手には不利だ。
また、2009年に行われた第2回WBC(World Baseball Classic)の日本代表チームを見回しても、投手陣にはダルビッシュ、田中、涌井、岩隈、杉内、小松聖、渡辺俊介と、パリーグの先発投手陣がずらり。セリーグからも、岩田稔、内海哲也が選ばれたが、どちからと言えば藤川球児、山口鉄也といったリリーフ陣に注目が集まった。
投手が打席に立たず、代打による途中交代のないパリーグでは先発投手、代打で投手が交代するセリーグでは中継投手が成長しやすい傾向が、改めて明らかになった。
はたしてセリーグでもDH制度が導入されるかは、まだ不明だが、採用された際には、セリーグ先発投手の巻き返しとなるのか。
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