『メジャーの投球術――日本野球は、もう超えたか』

ダルビッシュ有投手が今シーズンからメジャーリーグのマウンドに立つ。どんな活躍を見せてくれるか、今から開幕が楽しみだ。紹介する3冊はメジャーの野球をより深く、より楽しく味わうための手引となるに違いない。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」http://www.j-cast.com/mono/bookwatch/でも特集記事を公開中)。

日米野球の違いを浮き彫り

日本の野球とアメリカのベースボールは違うものだとよくいわれる。日本の野球は緻(ち)密だが、アメリカは大ざっぱというわけだ。祥伝社新書『メジャーの投球術――日本野球は、もう超えたか』(著・丹羽政善、777円)によれば、そう単純なものではない。アメリカにも「1点を取り、1点を守り抜く」スタイルがあり、ハイレベルなサイン交換もある。本書は豊富なデータとエピソードでメジャーの野球を紹介しながら日米の違いを浮き彫りにする。

「登板間隔中4日、投球数100球」がメジャーの先発ローテーションの大原則だが、その根拠は何なのか。野茂英雄、松坂大輔に続くダルビッシュの活躍を占う知識や情報が詰まっている。知れば知るほどMLBが面白くなること請け合いだ。

近代メジャーリーグ初の黒人選手

背番号42。日本では縁起が悪い番号だ。日本に来た外国人選手が「42」を付けているのは、そのことを知らないからではないか。実はそうではない。「42」はメジャー全球団の永久欠番。アメリカの選手にとってあこがれの背番号なのだ。それを付けていたのが、近代メジャーリーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソン。

文芸社から発売されている『背番号42 メジャー・リーグの遺産 ジャッキー・ロビンソンとアメリカ社会における「人種」』(著・波部優子、1470円)は、ロビンソンを通してメジャーリーグのもう一つの側面を描くノンフィクションだ。著者は「ドラキチ」(熱狂的中日ドラゴンズファン)の父親の影響で野球の魅力を知り、大学に進んでアメリカの黒人問題に関心を持ち、ジョンソンの大ファンになったという女性教諭。

イチローに学ぶ夢実現の哲学

メジャーリーグで活躍する日本人選手といえばシアトル・マリナーズのイチロー。2010年には10年連続200本安打を記録するなど、今やメジャーを代表する選手の1人。大和書房のだいわ文庫『夢をかなえるイチロー哲学 挑戦し続けるための4つの力』(著・児玉光雄、630円)は、これまで多くのイチローの本を出してきた著者によるイチローに学ぶ成功への案内の書だ。

偉大な記録をこともなげに成し遂げるイチローの力の源泉はどこにあるのか。イチローの思考力、仕事力、継続力、達成力の4つの力を「逆境を乗り切る発想術」「プロフェッショナル論」「モチベーションを保つ技術」「夢の叶え方」と分析、わかりやすく解説している。野球ファンだけでなく、若者やビジネスマンにもおススメの1冊だ。