2011年、イチローが200安打を達成できなかった理由は何なのか? このことについて取材を進めていると、各方面から次のような話をよく聞いた。

「試合時間短縮のためにストライクゾーンを広くしている」

 選手たちは本当にそのことを感じているのだろうか。松井秀喜に今シーズンのストライクゾーンについて聞いてみた。

「ストライクゾーンが広がったという話は聞いたことはありますけどね……。でも、僕に言わせれば、こっちに来た時からずっと広いって感じですよ(笑)。僕自身は意識したことはあまりないね」

 今シーズンの松井は、打率.251、本塁打12、打点72と、自己ワーストの成績に終わった。この結果について、松井は37歳の年齢が及ぼした部分を否定しようとはしなかった。一方で、松井より1つ年上のイチローの今シーズンについてどう思ったかを聞くと、マイケル・ヤングと同じようなことを話し始めた。

「アスレチックスとの試合ではすごく打っていますからね。イチローさんの打撃に変化を感じたことはないけど、リーグ全体でみると打撃成績は落ちている。昨年あたりから投手レベルが格段に上がったと感じます。どんな投手でも最低4つぐらいは球種を持っていますから。本当に球種は増えましたよ。その上、フロントドア(内角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる球)とかバックドア(外角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる球)の反則技も使うからね……(笑)」

 松井の言葉通り、メジャー全体を通して2009年には40人いた3割打者が、昨年は24人に減り、今年は26人。安打製造機と評されるヤングでさえ「厄介だ」と語った投手陣のレベルアップ。松井は投手がレベルアップした理由を、次のように分析する。

「お手本となる投手が右にも左にもいるのが大きいんじゃないかな。例えば、右ならばロイ・ハラデー(フィリーズ)、左ならクリフ・リー(フィリーズ)とかね。彼らの体のメカニックを学び、球種を覚え、投球術を習得する。お手本となる投手を真似することから始まって、みんながすごく勉強しているというのは、チーム内を見ても、対戦していても感じますよね」

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