脳科学者の茂木健一郎氏(写真中央)らの実験で、日本の「国民食」とも言えるカレーに、食べた直後に脳を活性化し、知能指数(IQ)に換算すれば7ポイント、向上させる働きのあることが分かった。26日に東京都内で開催された、第10回カレー再発見フォーラムで発表した。

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 脳科学者の茂木健一郎氏(写真中央)らの実験で、日本の「国民食」ともいえるカレーに、食べた直後に脳を活性化し、知能指数(IQ)に換算すれば7ポイント、向上させる働きのあることが分かった。26日に東京都内で開催された、第10回カレー再発見フォーラムで発表した。

 茂木氏は、自らも「カレー大好き人間」であると述べ、英国やフランス滞在中も、日本にいたときと同様に「週に2、3回は食べずにいられなかった」と告白した。カレーのふるさとといえるインドが、数学やIT分野の人材を輩出していることも、「スパイスを多く使う食文化と何らかの関係があると考えている」という。

 実験では水とカレー、外見がカレーに似た比較食を用い、それぞれ香りをかぎ、食べた直後の脳内血流を調べた。注目した脳の部位は背外側前頭前皮質だ。「脳内の司令塔」に当たる場所で、活発に活動していることは、集中力、やる気、統合力が向上していることを示すという。

 近赤外分光法という手法で、酸素を運ぶヘモグロビンの量を測定した結果、カレーの場合、水や比較食と比べ背外側前頭前皮質が活発に働いているとの結論を得た。

 漢字を用いての“知能検査”も行った。回答に要した平均時間にもとづき、妥当と考えられるいくつかの前提条件を加味した上で、「カレーの場合、IQに換算すれば7ポイント上昇したと判断できた」という。

 比較食はカレーからスパイスだけを抜いたもので、色や食感もカレーとほぼ同じにした。初めてかもしれないが違和感は感じない味で、「おいしいか、まずいか」の差とは考えにくい。「いつも食べているカレーと他の食べ物に対する反応の違いがあらわれた」と推定できる。

 茂木氏は、「科学的な手順をきちんと踏んだ実験とその結論」、「食べた直後の変化なので、カレーの匂いに反応した結果と考えられる」と説明した。

 別に実施したアンケートでも、昼食にカレーを食べた場合、他のメニューと比較して「午後の仕事に集中できた」と回答した人が多く、実験結果と矛盾しなかった。

 茂木氏は、「今回の実験は、個人の変化だけを調べた」と説明。実際には母親が作ったカレー、家族やグループで作ったカレーなど、カレーは日本人の食生活を豊かにしていると強調した。作る時や食べる時に他人と関わることが多いことが、大切なポイントという。専門家が注目する「集合的知性」と大いに関係しており、現代社会が特に必要とする、本当に役立つ「頭のよさづくり」に役立つと考えられるという。

 第10回カレー再発見フォーラムの対談部分で登場したハウス食品ソマテックセンターの鳴神寿彦スパイス研究室長(写真右)は、「各種スパイスにはそれぞれ、食材との相性がある。カレーの場合には20−30種以上のスパイスが入っているので、さまざまな食材と組み合わせることが容易」と説明。作る手順が分かりやすいことも、「皆で協力して作り、食べることができる一因」という。

 同フォーラムは公益財団法人浦上食品・食文化振興財団が協力。今回の検証実験についてはセンタン(本社・東京都千代田区)が試験協力した。(編集担当:鈴木秀明)



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