トルコ「大使館」

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 今回は、トルコ風呂にまつわる都市伝説(その1:実在したトルコ「大使館」)を散歩します。 トルコ風呂とは、ソープランドの昔の呼び名ですが、1975年頃、「大使館」という名前のトルコ風呂が実在しました。
 当時、「話の特集」という雑誌で写真ページを担当していた小沢昭一さんは、「大使館」というネーミングに小膝を叩き、トルコ風呂の「大使館」と本物の「トルコ大使館」とを二つ並べて見開きにしたいと思い、取材に出かけました。トルコ風呂「大使館」の方は、大きな看板があって簡単に撮影することができましたが 、「トルコ大使館」の方は看板があるわけではないので、大使館の入口に寝転がって、「トルコ大使館」と書かれたプレートの上にトルコ国旗がはためく姿を撮影しました。ところが、これを目撃した人から「変な人がいる」という通報があり、雑誌への掲載は没になってしまいました(吉行淳之助:恐怖・恐怖対談)。

 トルコ(風呂)大使館には、別の都市伝説も存在します。
 店のオープン以来、毎夜、大使館に「いま、すいてますか。」「Aちゃんいる?」といった調子で、怪しげな電話がかかってくるようになり、職員は夜も眠れないありさまとなりました。これは、104番に「トルコ大使館」の電話番号を問い合わせたのを、交換嬢が誤ってトルコ風呂「大使館」の番号を教えたのが真相だっ たようです。
 また、新任のトルコ大使館員が、(タクシーで)空港から大使館へ向かおうとしたところ、トルコ風呂「大使館」へ連れて行かれるという事件もおきました(井上章一:性的なことば)。

 それでは、トルコ風呂「大使館」はどこにあったのでしょうか。
 1975年11月14日の毎日新聞(夕刊)のコラム記事「赤でんわ」に、「『大使館』という名前のトルコ風呂が歌舞伎町にあったが、ネーミングがまぎらわしかったため、トルコ『大使館』は、トルコ『古城』と名前を変えることになった。」ことが書かれてします。
 実際に、1975年版の電話帳で調べてみると、歌舞伎町にトルコ風呂と思われる「ルームサウナ『大使館』」(場所は、歌舞伎東京第18ビル)の名前があり、それが、1976年版の電話帳では、「ルームサウナ『大使館』」の名前は無く、代わりに「トルコ『古城』」(場所は同じ歌舞伎東京第18ビル)の名前があります。
 トルコ「大使館」は、たしかに実在しました。





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