タイ人側「円谷プロと和解したい」 ウルトラマン裁判勝訴で声明
ウルトラマンの海外販売権をめぐる裁判で、円谷プロダクション(東京都世田谷区)に勝訴したユーエム社(東京都港区)が12日、声明文を発表した。同社の上松盛明社長は「和解によって紛争を早期に終わらせることが最良の解決」として、10年以上に渡る円谷プロとの法廷闘争に終止符を打ちたい考えを示している。この声明を受けて、円谷プロが和解に応じるかどうか、今後の展開が注目される。
タイ人の実業家ソムポート・センゲンチャイ氏(70)は、かつて東宝撮影所で円谷英二に特撮技術を学び、70年代には特撮映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』を円谷プロと共同製作していた。しかし、1976年に当時の円谷プロ社長、円谷皐氏と結んだとされる契約書をめぐり、円谷プロ側は「偽造文書だ」と訴えた。97年以降、日本やタイで裁判が続いていた。この契約書には『ウルトラマンタロウ』まで全ウルトラマンの海外利用権をソムポート氏に譲ることが明記されていたためだ。
タイでは円谷プロ側に敗北したものの、9月30日の東京地裁判決では、ソムポート氏側が逆転勝訴。「契約書は本物」として、これまでに海外展開した利益のうち1636万円の賠償金を、ソムポート氏の友人である上松氏が経営するユーエム社に支払うように命じていた。
今回、ユーエム社が出した声明文は以下の通り。
タイ人の実業家ソムポート・センゲンチャイ氏(70)は、かつて東宝撮影所で円谷英二に特撮技術を学び、70年代には特撮映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』を円谷プロと共同製作していた。しかし、1976年に当時の円谷プロ社長、円谷皐氏と結んだとされる契約書をめぐり、円谷プロ側は「偽造文書だ」と訴えた。97年以降、日本やタイで裁判が続いていた。この契約書には『ウルトラマンタロウ』まで全ウルトラマンの海外利用権をソムポート氏に譲ることが明記されていたためだ。
タイでは円谷プロ側に敗北したものの、9月30日の東京地裁判決では、ソムポート氏側が逆転勝訴。「契約書は本物」として、これまでに海外展開した利益のうち1636万円の賠償金を、ソムポート氏の友人である上松氏が経営するユーエム社に支払うように命じていた。
今回、ユーエム社が出した声明文は以下の通り。
声明文
平成22年9月30日,東京地方裁判所は,弊社と株式会社円谷プロダクションとの間の裁判において,円谷プロと故円谷英二氏から特撮映画を学びタイで大成功を収めたソムポート氏との間で1976年に締結されたライセンス契約の有効性を改めて確認しました。この契約書には,当時の社長であった円谷皐氏の代表者実印が押印されており,また,20年後の1996年には,その時の社長であった円谷一夫氏が契約書の有効性を確認する英文書面に自筆サインをしていながら,それから間もなく,円谷プロが突如として契約書は偽造であると主張してソンポート氏を日タイ両国で訴えたことから,永年の紛争が続いているのです。
日本では,ライセンス契約書に基づくソムポート氏のウルトラマン作品海外利用権を認める判決が確定しましたが,タイでは,逆に,契約書の実印や自筆サインの確認書面の意味が正しく評価されず,信頼度の極めて低い筆跡鑑定によって契約書が偽造と認定される結果となりました。
こうした日・タイ裁判の食違いのため,紛争の当初からソムポート氏は和解による早期円満解決を強く希望し,また,長年にわたる特撮映画業界での同氏との信頼関係に基づき,同氏から海外利用権を譲り受けた弊社としても同じ思いであり,そのことを円谷プロに対して表明していますが,残念なことに,いまだそれが実現していません。
しかしながら,弊社としては,裁判で確定した正当な権利は正当な権利としつつも,それに固執せず,和解によって紛争を早期に終わらせることが最良の解決であるとの考えに変わりはなく,また,これが全世界の多くのウルトラマンファンの真の希望でもあると信じます。
よって,弊社は,円谷英二監督の下で生み出された平和のための真のヒーロー・ウルトラマンを全世界に飛び立たせるために,紛争の公正妥当な早期円満解決を引き続き求めていくつもりでありますので,どうか今後とも,皆様のご理解,ご支援を賜りますよう心から宜しくお願い申し上げます
平成22年10月12日
ユーエム株式会社 代表取締役 上松盛明