永田広美さん
 自分探しや癒しがブームになっている昨今、おけいこ事や、癒しグッズ等で変化を試みても、いい気分が長続きしなかったりしませんか? 悩みに明け暮れている時間なんてないのに、どうしたらいいのかわからない。今回は、そんな悩みを抱える女子の皆さんに、色々な肩書きを総称したという「ライフスタイリスト」というご職業の永田広美さんに、少しでも心を楽にできるコツや、お仕事の内容を伺ってきました。

――まず、ご職業を教えて下さい。

永田広美(以下、永田):ライフスタイリストですね。自分の人生を“スタイリング”するという事をテーマにしているんです。相手に指図する訳ではなくて、自分でライフスタイリングした物を共有するだけのお仕事です。その人の持っている資質を一番綺麗にする事や、幸せにする事を提案していき、現在の状況下で一番幸せになれる方法を、見つけ出してもらうお手伝いをしています。

――それにしても、聞きなれない名称ですよね?

永田:ライフスタイリストという職業は、色々な肩書きを総称する為に自分で作ったものなのです。だから、ライフスタイリストになろうと思っていた訳ではないんですよね。現在の職業につく前には、本当に色んな仕事をしたんですよ。ある時に、レジュメを書いたら、ライターや国際コンサートのコーディネイト、通訳、ビデオの原稿も書いて、現場のディレクションに、母親業やお料理連載などという経歴を書き連ねていったら怪しかったんですよ(笑)。それで、「じゃあ、あなた誰?どれが本業なの?」って聞かれた時に答えられなかったんですよね。その時に、何が本業だろうと考えたら「全部だ」と思ったんです。

――確かに色々な方面でご活躍していますが、メインは何になるんでしょうか?

永田:ヒプノセラピストと風水カウンセラーの養成がメインになっています。セミナーも重要な活動の一つですが、私が話している事は、ハワイに住み始めた頃に、ライター業務の取材で出会った人達が、日常生活の事として、話していた事がベースになっているんです。その当時は、今程、癒しについて話されていない時代だったのにも関わらず、ハワイの人達は当たり前のように、日常で癒しを取り入れていたのを知ったんです。それを全部自分の経験に活かしましたね。

――多岐に渡っている全ての職業に精通するのは、大変ではありませんか?

永田:そんな事ないですよ。現在の職業であるエッセイを書く事や、ハワイのお料理研究も、ヒプノセラピストの養成や風水もそうなのですが、やっているのは全部同じ事なのです。結局、自分自身の気持ちを豊かにしていく事が大切なんです。

――その為に必要な事はあるのですか?

永田:基本的には、日々の喜怒哀楽を楽しむ事ですね。よく“喜と楽”は良い事で、“怒と哀”は嫌な事と思われがちですが、怒ったり悲しむ事も悪い事じゃなくて必要な事なんですよ。怒りや悲しみが嫌だと思ったら、「じゃあ、自分の為にどうしたいのか?」と思うようになるんですよね。そこが、スタイリングに通じるんです。

――では、仕事をしていての“喜”はどんな時ですか?

永田:毎日です。ちょっと嘘っぽいですけどね(笑)。でも、それが例え、いわゆる“喜”ではないかも? という事でも、必ずそこには真逆の事があると、私はわかっているので「かかってきなさい」位に思っちゃいますね。

――すごい、前向きですね。ポジティブに保つ秘訣はあるのですか?

永田:いつも周りから「どうしてそんなにポジティブなの?」と言われるんですが、実は私はネガティブな性格なんですよ。でもそこを受け入れているので、無理してポジティブな言葉や、行動にしようと思っている訳でもないんです。根本がとても心配性なので、こうなったらどうしようと考えてしまうんです。それを単なる癖だと思って「ああ、癖が出ちゃった〜。」と、ただ考えを修正しているだけなんですよね。自分自身のネガティブな面を認める事によって、ポジティブな面も同時に認める事になるんですよ。常日頃、自分のネガティブを認めているから、私はバランスが取れているだけなんです。あえてポジティブに頑張っている訳でもないんですよ。

――ネガティブの真逆はポジティブだからなのですね。

永田:そうですね。私は、“困った”“どうしよう”“頑張る”という言葉が出ないんですよ。最初は、ただ言わないようにしていただけで、それで状況は良い方向に変わってはくるんですが、自分では無理をしているので、そのうち更に「どうしよう」と言わざるを得ない状況が出てくるんですよ。それで「何でだろう?」と思った時に、“困った”“どうしよう”“頑張る”は、いけない事だからやらないようにと、自分に禁止していたのがわかったんですよ。それなら、その反対側の言葉を使えばいいんだって閃いたんです。“困った”の反対は“大丈夫”。だから、“大丈夫”という言葉を使っていれば、“困った”をカバーできるしスムーズなんです。

――確かに、その方が自分に負担ではないですね。

永田:例えば、病気にかかるのが嫌な場合には、「病気になりたくない」ではなくて、今の健康に感謝すればいいんです。実際、病気になっている時に、「自分は健康です」と思い込むのは無理がありますが、病気になった時にこそ、「本当に健康っていいな」とか、健康だった事に感謝ができますよね。そういう風にしていくと、無理がないので楽なんですよね。だから、日々、自分に対して気持ちのいい言葉を投げかけています。自分に対してもすごく優しいので、自然と出てくるんですよ。

――それもスタイリングの一部なのですね。

永田:自分の事を大事に思っていないと、スタイリングはできないですからね。綺麗になりたいという欲求や、健康になりたいという欲求があれば、自分の理想をイメージして、自分に意識を向けていくのはとても大切なんですよ。