くだらないだのお笑いをダメにするだのさんざんに言われてきたショートネタ。しかし一部の口うるさい方々の意向などどこ吹く風、ショートネタはブームとなって一時代を築き上げた。「爆笑レッドカーペット」でショートネタブームの旗手となったフジテレビは、すでに次なる戦略を仕掛けている。

 23日にフジテレビ系で放送された「THE THREE THEATER(ザ・スリーシアター)」。不定期で放送されているお笑い番組で、レッドカーペットの兄弟番組と位置づけられている。出演しているのはいわゆる“レッド芸人”だが、演るのはレッドカーペットでのショートネタとはひと味違う、やや長めのシチュエーションコントだ。

 例えばしずる(吉本興業)は、おなじみの青春コントを制服と共に脱ぎ捨てた。それでいてどことなく甘酸っぱく感じられる“しずるテイスト”は健在で、伸びしろを感じさせる出来。我が家(ワタナベエンターテインメント)はレッドカーペットで鉄板ネタとなっているローテーション漫才の要素は一切見せず、『言わせねーよ!』も封印した。

 反面、これまでの芸をコント用のセットの前で行ったことにより、さらに輝いた芸人も多い。中でも圧巻だったのがジャルジャル(吉本興業)。あまりの勢いの良さにレッドカーペットでは尻切れトンボのような印象が強かったが、この番組で1分という持ち時間が彼らにとっていかに短かったかということを痛感した。逆にショートネタでも常に巧みにまとめ上げてきたロッチ(ワタナベエンターテインメント)のコントは持ち時間が伸びた分だけ広がりが感じられ、安定感があった。

 ブームは廃れる前に新しい物を作り上げた方が美しい。ショートネタの次にフジテレビが視野に入れているのは、コントではないか。実力があり、人気が出だしている芸人を上手に吸い上げてショートネタブームからコントブームへ移行。戦略としても悪くはない。

 フジテレビのコント番組というと「夢で逢えたら」「ダウンタウンのごっつええ感じ」「笑う犬」シリーズなどの印象が強い。番組独自のキャラクターとストーリーを作り、連続ドラマのようにコントを見せる手法は、現在は「コンバット?」に引き継がれている。しかしスリーシアターはこれらとは一線を画し、純粋に芸人のコントを披露する場として存在している。芸人が持ちコントを演ることができる番組は他にもあるが、「爆笑オンエアバトル」(NHK)はストイックすぎ、「エンタの神様」(日本テレビ系)はなにか違う意図が見え隠れしている。スリーシアターが定期的に放送されるようになれば、新たなコント芸人の目標となり得るのではないか。

 奇しくも今年から始まった「キングオブコント2008」は25日で2回戦が終了。10月5日の決勝に向けてコント芸人たちは色めき立っている。このままコントブームの到来となるのだろうか。

(編集部 三浦ヨーコ)


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