2005年3月に東京都足立区の東武伊勢崎線竹ノ塚駅の踏切で起きた、女性4人が電車にはねられ死傷した事故で、東京地裁は3日、業務上過失致死罪に問われた元・踏切保安係の小松完治被告に禁固1年6月の判決を言い渡した。

 判決理由で、入江猛裁判長は「安全確認を軽視する態度は、強い非難に値する。何の落ち度もない被害者の無念は、察するに余りある」と指摘。東武鉄道からは懲戒解雇され、反省の情も見られることも考慮して禁固1年6月を言い渡した。また、「踏切で待たされる通行人から踏切脇の詰め所のドアを蹴られたり、罵声を浴びせられて精神的圧迫があった」と認め、東武鉄道に対しても、踏切保安係の精神的重圧を解消する対策を取ってこなかった責任について言及した。

 判決によると、05年3月15日夕、東京都足立区の東武伊勢崎線・竹ノ塚駅近くの踏切脇の詰め所で、遮断機を手動で操作していた小松被告は、準急の接近を知らす赤ランプが告げていたのに、それを失念。次の電車が来るまで時間があると考え、人や車を横断させるためにロックを解除して遮断機を上げた。そこに準急が差しかかったため、2人を死亡させ、2人に1カ月の重傷を負わせた。

 判決を受け、東武鉄道では「このような事故を二度と起こさぬよう、安全の確保にさらに万膳を尽くしてまいる所存です。一日も早い踏切道の立体化が実現できるよう一層努力をしてまいります」などとコメントした。【了】