開発したホオズキワインを手にする岩本さん(三重県紀北町で)

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 三重県紀北町で、トマトの生産、販売などを手掛ける(株)デアルケが、フルーツホオズキを原料にしたワインを開発し、売り出した。同社代表の岩本修さん(33)によると、「世界で初めての商品」だという。薄い金色とホオズキの甘味が特徴で、贈答用などの需要に期待する。岩本さんは「目標は、地元を産地化して活性化につなげること。農家がもうかる道筋を立てたい」と意気込む。

 同社は、ハウス20アールで高糖度トマトの生産やトマトジュースの製造販売に取り組む。トマトジュースは2016年に三重県で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で使われた。

 フルーツホオズキは糖度14〜20という甘さに加え、βカロテンや、肝臓に良いとされるイノシトールなどの成分が豊富。海外では「スーパーフード」として注目を集めている。岩本さんが「新たな特産をつくりたい」と3年ほど前に試験的に栽培を始めた。サントリーワインインターナショナルや関西の老舗ワイナリーの協力を得て商品化を目指した。

 国内の産地は高冷地が多いが、紀北町は雨が多く栽培適地とはいえない。岩本さんも昨年に植えたものは台風で全滅に近い被害を受けた。それでも「町内の同年代の若手農家は自分を含めて4人だけ。あと10年もすれば農地を守る人がいなくなってしまう」(岩本さん)と危機感を持ち、挑戦してきた。

 取り組みを行政も後押しする。県の農業研究所は栽培技術を共同研究し、鈴木英敬知事は自らのフェイスブックで商品を紹介し「挑戦を応援していく」と明言する。

 完成したワインは限定600本。食用ホオズキの英語名「フィサリス」とワインの色から「フィサリスゴールド」と名付けた。箱入りで1本(720ミリリットル)を9200円(税別)で、同社のホームページで販売する。