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スーパーなどで、陳列されている商品とはまったく関係ない商品が棚に放置されていることがある。いったん商品を手にとった客が、もとの棚に戻すことを億劫がって他の商品棚に放置してしまうようなケースだ。

こうした迷惑行為に対する非難の声が高まっている。2月下旬には「# 他人に理解されにくい自分の嫌いなもの スーパーでこういう事平気でする奴」という文言とともに、かつおパックが並んだ商品棚にほうれん草が置かれた画像がツイッターに投稿された。

#他人に理解されにくい自分の嫌いなものスーパーでこういう事平気でする奴 pic.twitter.com/gJ9LdiduXS

— にょに紫 (@242murasaki) 2019年2月23日

このツイートには、スーパーの関係者らしい人たちも複数反応。アイスが冷蔵うどんのコーナーに放置されてとけていたケースや、冷凍食品がお菓子の紙箱の上に置かれ箱が濡れてしまうなど、商品を廃棄せざるをえないケースも起きていると訴えていた。

商品を廃棄せざるをえないようなケースは単に「マナー違反」ではすまされないようにも思える。業務妨害などの犯罪にあたることはないのだろうか。また、店側は損害賠償などを求めることはできるのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。

●「器物損壊罪」が成立する可能性

ーー昔からある迷惑行為かもしれませんが、法的な問題はないのでしょうか

このように無責任な行動を取る人っていますよね。

まず、従業員が商品を元の場所に戻さなければならないことから店に迷惑がかかることはもちろん、そのような光景を見た他の客も嫌な気分になるでしょうから客にも迷惑がかかります。

本や日用雑貨など、元の場所に戻せば済むという商品なら、上記のような「迷惑」という 道徳的なレベルで済むでしょうが、生鮮食料品や冷凍食品など、本来あるべき場所以外の場 所に放置されると、商品価値がなくなるものについては、もはや道徳的なレベルでは話は終 わりません。

ーー犯罪にあたる可能性もありますか

生鮮食料品を腐敗させたり、冷凍食品を解かしてしまったりした場合は、商品の効用を害 する行為として、器物損壊罪(刑法261条)が成立します。

冷凍食品が溶けてしまった結果、他の商品の包装が濡れてしまい売り物にならなくなってしまった場合も同様に、器物損壊罪が成立すると考えられます。

さらに、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立するかですが、これは「威力」という人の意思を制圧するような勢力を手段とする犯罪です。したがって、ご相談のようなケースでは通常、威力業務妨害罪は成立しにくいと思われます。

●損害賠償は「販売価格そのもの」

ーー損害賠償請求についてはどうでしょうか

客の行為に器物損壊罪が成立するような場合、店には当該商品を廃棄しなければならなく なったという損害が発生します。

この場合の損害額は、当該商品の販売価格そのものと言ってよいでしょう。店(会社)は、あまりにも悪質な客に対しては損害賠償請求をすると思われますが、それもケースバイケースということになります。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大橋 賢也(おおはし・けんや)弁護士
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県
弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一
人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラ
ソン。
事務所名:川崎エスト法律事務所
事務所URL:http://kawasakiest.com/