孫の手、実は美人仙女の手。「孫の手」の本当の由来は“孫”ではないんです

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「背中がかゆ〜い!」

そんなときに大活躍してくれる道具といえば「孫の手」ですね!

痒いところに手が届かないということは人類共通の悩みであったようで、孫の手のような道具は世界各国に存在しています。ちなみに、孫の手のような道具を英語では“backscratcher(バックスクラッチャー)”、“scratch-back(スクラッチバック)”などと呼んでいます。

「孫の手」は、棒の先に手のような形をしたものが付いていること、またその名前から、年寄りが自分のかわいい孫に背中を掻いてもらっている姿から呼ばれるようになったと思いがちですが、実は「孫」は全く関係ないんです。

実はこの道具、もともとは「麻姑(まこ)の手」と呼ばれていました。

「麻姑」とは、中国の西晋時代の書『神仙伝』出てくる仙女の名前です。

中国の伝説の仙女・麻姑(wikipediaより)

漢の桓帝の時代、王遠という仙人がいました。その仙人がかつて修行の要領を授けた蔡経(さいけい)の家に下っていたのですが、しばらくして妹も呼んできました。その妹が麻姑でした。

麻姑はたいそうな美人であったそうですが、手の爪が鳥のように長く、蔡経は「この爪で背中を掻いてもらえたらどんな気持ちいいだろう」と思っていたそうです。ところが王遠はそんな蔡経の邪念を見抜いており「麻姑は仙人であるのにお前は何を考えているのだ」と叱ったそうです。

このような中国の故事から、届かないところを掻く道具のことを「麻姑の手」と呼ぶようになったようで、実際かつては引っ掻く爪の部分も今より大きくて長かったそうです。

ところが、それが日本に伝わると形が小さくなり、「孫の手」といわれるようになったのだとか。ちなみに、かゆいところが掻ける、すなわち物事がうまくいくことを「麻姑掻痒(まこそうよう)」といいます。

近年、孫の手は、木材の産地などで、おみやげとして売られることも多いようですが、一方でバラエティショップ等で、肩叩きや靴べらと兼用になっているものなどもあるようです。

美人仙女の手から、孫の手へと変わる―

日本の言葉って、おもしろいですね。