なにをやっても批判対象となるネイマールだが、さすがにこの場面に関しては……。主審はラジュンを咎めていない。(C)Getty Images

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 セレソンが快勝を収めた。
 
 現地時間7月2日に行なわれたロシア・ワールドカップ、ラウンド・オブ16のブラジルvsメキシコ戦は前者に軍配が上がった。前半こそ中米の雄の鋭いフォアチェックと高速カウンターに苦しめられたが、徐々にペースを握ると、後半は主導権を掌握。きっちり仕事をして見せたのが至宝ネイマールだ。
 
 51分に左サイドを打破したウィリアンのクロスを中央で合わせて先制点を挙げると、88分には速攻から持ち上がってシュート気味のトーキックでフィルミーノのゴールをお膳立て。千両役者ぶりを大いに示したのである。
 
 しかし、そのハイパフォーマンスとは別に、物議を醸しているのが70分過ぎの場面だ。タッチライン際で倒れ込んだネイマールの元にメキシコ代表MFミゲル・ラジュンが歩み寄る。足に挟まったボールを奪おうとしたラジュンは、そこでネイマールの右足首を軽く踏みつけてしまう。故意だったかどうかは微妙なところだが、ネイマールは絶叫してのたうち回り、試合は治療のため2分程度中断された。

 
 今大会のネイマールに対するファウル数は尋常ではないが、必要以上に痛がる姿がたびたび糾弾されてきた。その伏線があったからだろう。英国のテレビ中継各局の大物解説者たちが呆れ顔でコメントやツイートを発信している。
 
 公共放送『BBC』の解説者で元イングランドFWのアラン・シラアーが辛辣だ。「おいネイマールさんよ、頼むからそんな振る舞いは止めてくれ! もうウンザリなんだよ!」と怒り心頭。同じく元イングランド代表FWのガリー・リネカーは「オプタ(データ会社)の調べによると、ネイマールワールドカップ史上“もっとも痛みを感じていない選手”のようだ」とお得意の皮肉ツイートで苦言を呈した。
 
 さらに『BBC Radio 5』のライブ中継で解説を担当した元イングランド代表FWディオン・ダブリンは、「もったいない」という言葉を使った。「なぜいつも彼はこうなんだ! そんなことをしなくても十分ワールドクラスのプレーヤーなのに、どうしてかくもカッコ悪い振る舞いをするのだろうか。もったいないとしか言いようがない」と断じた。
 英国の大物コメンテイターであるイアン・ダークは『BT SPORTS』の放送内で「なんて恥ずかしいド素人の演技だろうか」と吐き捨てた。一方で民放『ITV』の番組に出演したアイルランド代表監督のマーティン・オニールは「こんな光景は見たくないね。まるでインフルエンザの予防注射を外科手術のごとく痛がっているじゃないか。トップレベルの選手であり、トップレベルの俳優なんだな」と、こちらは演技力を称えている。
 
 ツイッター上ではファンによるネイマールいじりが激しく、すぐに倒れるため、幼児用の歩行器に選手本人を入れた加工画像などが登場するなど、批判と嘲笑の的になっている。
 
 スーパースターゆえにバッシングもエスカレートしがちだが、ネイマール自身が過剰なジェスチャーを繰り返しているのは事実。ファンはどこかで飽き飽きしているのだ。大会が始まってから髪形は「金髪パーマ」→「金髪ショート」→「黒髪ショート」と変化しているが、その“悪癖”はなかなか修正されそうにない。