ここ最近、人気が落ち込みぎみだった大相撲に、救世主とも言うべきニューヒーローが登場した。それは、佐渡ヶ嶽部屋の琴欧州関。夏場所でのあの大躍進振りは、記憶に新しいところ。

 琴欧州はブルガリア出身の22歳。「角界のベッカム」の異名をとる彼は、その端正な顔立ちから女性ファンが非常に多い。それにしても、最近は外国人力士の活躍ばかりが目に付くような・・・。このような状態を専門家の間では「ウィンブルドン現象」というらしい。でも、これってどういう意味?

 「ウィンブルドン」とは、開催地にちなんで名付けられた、イギリスの由緒あるテニス大会の名前。正式には、「全英テニス選手権大会」という。この大会は1968年にオープン化、世界各国のプロ選手にも門戸が開放され、その歴史とステータスから、世界最大のテニス大会といっても過言ではない。

 しかし、オープン競技となった結果、本国イギリスの選手がほとんど活躍せず、外国人選手ばかりが活躍するようになってしまったのだ。このような状態になぞらえて、金融の世界では、市場を開放した結果、外資系企業の参入に押され、国内資本の企業が淘汰されてしまう状況を「ウィンブルドン現象」と呼ぶようになったという。

 現在、外国人力士の数は59人。実際、ニュースなどを見ていても外国人力士の活躍ばかりが注目されている。このままでは、日本の大相撲もウィンブルドンのようになってしまうのか?

 こんな状況を日本相撲協会も黙って見ているばかりではない。このような傾向がみられてきた平成14年の2月から「1部屋1外国人制」を実施している。以来、ひとつの相撲部屋には、外国人は1人しか入門出来ないことになった(入門時に日本滞在が満10年以上の者や日本に帰化した場合は、カウントされない)。

 ということは、これが実施されて以降、外国人力士の数は一定以上、増えていないということになる。したがって問題は人数ではなく、その活躍ぶりということか・・・。これ以上、影が薄くならないよう、日本人力士のみなさんにも大いに活躍していただきたい!(文/verb)