自分が歳を取ったと感じる瞬間 「メロコアが聴けなくなった」「アニメキャラのテンションの高さについて行けない」
このコラムを読んでいるあなた、今年いくつになるだろうか。もしも30代未満であるのなら、今回のコラムは読んでもシンパシーを感じることはない。インスタグラマーのお洒落な投稿でも眺めていた方が楽しいだろう。
その一方で、30代以降の人には是非ともちょっくらお付き合いしてもらいたい。今回は歳をとり、青春が遥か昔のことになった人のためのコラムである。
先日、おーぷん2ちゃんねるに「歳取ったなと感じる時」というスレッドが立った。スレ主は「メロコアが聴けなくなった」と書き込んでいる。(文:松本ミゾレ)
「小説や漫画や映画は再読再見が増える、新しいものに興味がわかない」
もうそんなに若くないから、中高生が聴いているようなクサいメロディの音楽はきついのかもしれない。スレッドには他にもこんな書きこみが寄せられていた。
「自分より年下のアイドルを見た時」
アイドルに限らず、テレビのキャスターや芸術家、商業的に成功した映画監督が自分よりも年下であることに気が付くことが増えている。そしてじっと、自分の手を見るしかなくなる……。
「肉と魚の選択肢があったら迷い無く魚を選ぶようになった時」
僕も少しずつ食の嗜好性が変わってきて、肉よりも魚、魚よりも野菜を好むようになってきた。揚げ物やカップ麺はだんだん受け付けなくなっていく日々を送っている。なのに体脂肪は落ちない。
「小説や漫画や映画は再読再見が増える、新しいものに興味がわかない」
これはすごく賛同できる意見だ。新しいコンテンツに目が向かなくなって、昔観た映画や小説ばかりを繰り返し楽しむようになってきている。どうやら未体験の刺激を、脳が求めていないようだ。
ほかには「アニメキャラのテンションの高さについて行けなくなった時」「わりと立派な教養系新書の著者が自分より年下」といった書き込みが寄せられていた。
老いることは避けられない…だったら老いを受け入れ、楽しむべきなのかも
私事で恐縮だが、僕は今年34歳になる。人生は無駄に80年ぐらいあるのでまだまだ若造なんだけど、最近体が辛い。脂肪も燃えにくくなってきたし、何より物覚えが悪くなってきて、人の名前と顔がさっぱり頭に入らなくなってきた。まだ人生は長く続くのだから、もうちょい老化の速度は空気を読んで欲しい。
最近は小説なんか読んでいても、登場人物が若者で、ちょっとハツラツとしているだけで、もうなんか読む気力が削がれてしまうようになってきている。
そんな話を同級生の僧侶になんとなく話してみたところ、「人はいずれ死ぬから老化もまた避けられない。老いを受け入れ、変化を楽しめ」と言われた。まあ、仏門に帰依している人間の言うお説教なのでありがたく参考にさせてはもらっているんだけども、まあ〜なかなかそういう段階までモードが切り替わらない。
でも考えてみれば、たかが30代中盤に差し掛かったくらいでこんなことを言っていると、それ以上に年齢を重ねたときにはさらに卑屈になっていそうな気しかしない。そうならないためにも、ハゲても、背中が曲がっても、それが生きている証だとして納得するような境地に、さっさと到達したいものだ。