「おカネを増やしたいのに、うまくいかない」。そんな人は「やってはいけない3つのこと」をしていませんか?(写真 : 【IWJ】Image Works Japan / PIXTA)

世の中には資産運用やおカネを増やすためのテクニックを書いた本はたくさん出ています。いずれも、それなりにうなずけることも多いのですが、実は「これをやれば絶対にうまくいく!」とか「絶対儲かる!」というものはありません。

「やってはいけない3つのこと」とは?

ところが「これをやると失敗する!」「これだけはやってはいけない!」ということはあります。それらはいずれもシンプルなことばかりです。人に言われたら「そんなこと当たり前だ」と思うようなことなのですが、実際に自分がそういう局面になってみると、意外と気付かずにハマってしまいがちです。

それは一体どういうことかというと、以下の3つです。

1.人に頼ったり任せてしまうこと
2.「うまい話」に乗ってしまうこと
3.無理をすること

本当に「この3つ」に尽きると言っていいでしょう。個人投資家を40年以上にわたって見てきた私の経験から、極めて重要だと思われるこの3つのことがらについて考えてみましょう。

1.人に頼ったり任せてしまうこと

長年にわたって個人投資家が株式投資でとる行動を見ていると、明らかなことが一つあります。それは儲かっている人はほとんどみんな「自分で考えて判断している」ということです。逆に人に「何を買えば儲かりますか?」と聞いている人で、儲かっている人は見たことがありません。これは投資に限らず、すべてのビジネスにおいて共通することでしょう。

考えてみてください。これが結婚や転職のような重大なことを決める場合、その意思決定を簡単に人に委ねるようなことをしますか? 「誰と結婚したら良いか教えてください」とか、「転職すべきかどうか、私に代わって決めてください」などとは絶対に考えないはずです。

にもかかわらず投資という自分の財産に関わる重大な案件であるはずなのにどうすればいいのかを人に聞いたり委ねたりするというのは変です。おそらく心の片隅に「きっと儲かる方法や銘柄があるはずだ」と思う気持ちがあるからでしょう。しかしながらそんなものはありません。「先のことは誰もわからない」というのが投資の真実です。だからこそ、精緻に分析し、慎重に考え、かつそれでも決してなくなることのない「リスク」をできるだけ小さくするために分散投資をおこなうことが大切なのです。

したがって、おカネを増やすにあたって、絶対やってはいけないことの一つが「人に頼ったり任せたりしてしまうこと」です。投資に限らず、人生において最も大切なことは「自立すること」です。自分の頭で考えて判断し、結果に対して責任を負うということが一人前の人間として求められることなのです。

世の中に「うまい話」などない

2.「うまい話」に乗ってしまうこと

これ、実はさきほどの1とも共通します。どういうことかと言うと、人に「何か儲かるものはないか?」と聞くのは、そういうものがきっとあるのだろうという気持ちがあるからです。でも世の中にうまい話はないのです。

よく、「あなただけに特別な情報を」とか電話で言ってくる業者があります。でも本当に特別に儲かるものなら、どうしてそれをわざわざ人に言うのでしょうか。私だったらもしそんなおいしい話が本当にあったとしたら、絶対に人には言わず自分で独り占めします。そもそもそういう話を持ってくる時点で怪しいと思うのが、常識です。

ところがそういうことは頭でわかっていても人間には欲がありますから、「特別に良い話を」と言われると、つい聞いてみようという気になるのです。ではどうすればいいのでしょうか。それは自分が相手の立場になって考えてみればいいのです。相手がこれを自分に勧めることによって相手には一体どんなメリットがあるのだろう?と考えることです。

これは世の中によくある「無料サービス」でも同じことです。たとえば「保険ショップ」などは特定の保険会社が運営しているわけではないので、中立だと言っていますが、相談料が無料だとしたら、一体何で儲けているのかを考えるべきでしょう。言うまでもなく販売した保険の会社から一定のバックマージンを得ているはずです。だとすれば私なら一番取扱い手数料の高い保険を勧めるでしょう。それが常識というものです。

無料というおいしい話につられないようにすることが大切です。

3.無理をすること

最後の“やってはいけないこと”、それは「無理すること」です。ただ、これは「まったくリスクを取らずに安全第一でいきましょう」ということではありません。なぜならリスクを取らない限り、利益を得ることができないというのもまた、「おカネの真実」だからです。

「リスク許容度」を無視しないこと

したがってリスクを取るのは一向にかまいません。問題は自分に負えないような過大なリスクを取らないということです。具体的に言えば、自分の持っている資産の中で価格変動があるリスク資産にどれぐらいおカネを投資することができるかということ、これを「リスク許容度」と言いますが、この「リスク許容度」を無視して投資をしてはいけないということです。マーケットが好調で株価が上がってくると、おカネをさらにつぎ込みたくなってきます。その気持ちは理解できますが、調子に乗って自分で負える以上のリスクを取るのは感心しません。過去に投資で失敗した人たちの多くは、この過度にリスクを取ったことが原因です。


またおカネを借りて投資をするのも「無理をすること」です。信用取引というのはまさにおカネを借りて投資することなのでFX(外為証拠金取引)のようにレバレッジがかかります。上がれば効率よく利益を得られますが、逆に少しでも下がると自分の出したおカネは吹っ飛んでしまうことになりかねません。信用取引が悪いということではありませんが、レバレッジをかけて投資をすることのリスクを十分承知しておかないと、思いがけない大きな損で財産をなくすことになるかもしれないということを忘れてはいけません。

これ以外にも細かいことで、あるいはテクニック的な部分で投資するにあたって注意することはありますが、それらは自分で体験することで学ぶことができますし、むしろ時には小さい失敗をしたほうがいい場合もあります。ただ、ここでお話しした3つのことは、極めて重要かつ本質的な話なので、心得ておくべきことだと思います。