国内のトロリーバス、残り1か所に 関電が廃止、立山黒部貫光が「唯一」に
国内2か所のみで運行されているトロリーバスのうち、関電トンネルの車両が、2019年4月から電気バスに変わることが明らかになりました。
立山黒部アルペンルートに残るトロリーバス
関西電力は2017年8月28日(月)、立山黒部アルペンルートの関電トンネル(黒部ダム〜扇沢)で使用しているトロリーバスの車両(300形)を、2019年4月の営業開始以降、電気バスに変更すると発表しました。
トロリーバスは、空中に張られた架線(トロリー線)から電気を受け取って、モーターで走るバスです。見た目はバスですが、日本の法令では「無軌条電車」として鉄道に分類されています。
見た目はバス、中身は電車の、関電トンネルトロリーバス(2015年9月、恵 知仁撮影)。
かつては東京や大阪、横浜などでも見られましたが、現在、このトロリーバスを運行しているのは、この関西電力と、同じく立山黒部アルペンルートの一部を構成する立山黒部貫光(立山トンネルトロリーバス)のみです。
「唯一」になる立山黒部貫光、今後は
関西電力は1964(昭和39)年8月1日から、関電トンネルでトロリーバス事業を行っています。現在、運行に使用している車両15台は1993(平成5)年から1996(平成8)年にかけて導入。旅客定員は72人(座席36人)、最高速度は50km/hです。
今回、この全15台を電気バスに変更するにあたり、8月28日(月)、関西電力は国土交通省北陸信越運輸局に、関電トンネルトロリーバス事業にかかる鉄道事業の廃止を届け出ました。
新たに導入される予定の電気バスは、パンタグラフで車載バッテリーに超急速充電するタイプです。旅客定員は80人(座席33人)、最高速度は50km/hとなっています。
同社は「今後、新たな車両に更新するにあたり、運行ルートが中部山岳国立公園内であることから環境性を考慮するとともに、運行にかかる経済性等も踏まえ、トロリーバスから電気バスに変更することとした」と説明。「トロバス」の愛称で親しまれ、これまで累計6000万人以上が利用した関電トンネルトロリーバスは、2018年に最後の年を迎えることから、「トロバスラストイヤーキャンペーン(仮称)」として、各種イベントなどを展開していくとしています。
なお、立山黒部貫光は、立山トンネルトロリーバスで1996(平成8)年に8000形8台を導入し運行しています。同社によると、車両の更新は「いまのところない」とのこと。国内唯一のトロリーバスになることについては、「今後、アピールが必要になっていくとは思いますが、現時点では特に具体的な検討はしておりません」としています。
【画像】関電トンネルに導入されるパンタグラフを搭載した電気バス
新たに導入されるパンタグラフを搭載した電気バスのイメージ。車体デザインは検討中(画像:関西電力)。