プーチン大統領の心をとらえた一発逆転の「犬」外交
『秋田犬「ゆめ」写真:ロシア大統領府』
先日、山口県と東京都で開催された日ロ首脳会談。
北方領土問題や平和条約締結など問題が山積するなか、少しでも友好ムードを盛り上げようと、プーチン大統領の来日前に水面下で「犬外交」が画策されていた。
柔道の有段者でポーカーフェイスを崩さずに舌鋒鋭い発言するプーチン大統領のイメージは、まさに強面。大国ロシアを率いる強いリーダーだが、実は犬好きとしても知られている。
プーチン大統領は、外交の場でも犬をよく登場させる。2007年には、当時飼っていたラブラドール・レトリバーのコニーを引き連れてドイツのメルケル大統領と会談した。犬が苦手なメルケル首相は困惑の表情を浮かべ、その様子は世界中で話題を呼んだ。
その愛犬コニーが2014年に死んだときは、週刊誌で特集が組まれたほど、ロシアでは有名な存在だった。
2010年にブルガリアを訪問したプーチン大統領は、ブルガリア大統領からブルガリアン・シェパードのバフィを贈られた。子犬を手渡されたプーチン大統領は、いつものポーカーフェイスを崩して笑顔を見せ、頬ずりをしている姿が印象的だった。
その後、2012年に東日本大震災の被災地支援のお礼として秋田県から贈られたのが、秋田犬の「ゆめ」だった。
「ゆめ」は航空会社の計らいでビジネスクラスに搭乗してロシアに行き、その後はロシアの大統領公邸で先にいたバフィと仲良く暮らしているという。
2014年に安倍首相がロシアを訪れたときは、「ゆめ」はプーチン大統領と一緒に出迎えも行った。今回の来日直前に行われた日本の報道機関との会見でも、「ゆめ」を同行している。
そんな愛犬家のプーチン大統領に対して「もう一押し」の贈り物として計画されたのが、「ゆめ」のお婿さんとなる秋田犬の雄だった。公益社団法人「秋田県保存会」が日本政府を通じてロシア政府に打診したが、来日前に断られてしまった。
「犬外交」は完全に失敗したと思われていたが、思わぬところでプーチン大統領の心を掴んでいたことがわかった。
12月15日、宿泊先となった山口県長門市の大谷山荘の女将が夕食に「秋田犬の箸置き」を用意した。この箸置きは女将の私物だったというが、プーチン大統領がとても気に入り、何とそのまま持ち帰ったというのだ。
思わぬところで大逆転となった「犬外交」。さて、どんな効果を日本にもたらしてくれるのか!?