山陽新幹線で新ATC導入 東京〜博多間の史上最短を更新、4時間46分に 乗り心地向上も
山陽新幹線が2017年3月より、新しいATC(自動列車制御装置)の使用を開始。所要時間の短縮や、乗り心地の向上が図られます。東京〜博多間の最短所要時間も更新される見込みです。
鉄道の信号保安装置「ATC」
2016年12月16日(金)、JR西日本は2017年3月4日(土)に実施するダイヤ改正より、山陽新幹線で新しいATC(自動列車制御装置、Automatic Train Control)の使用を開始、山陽新幹線の所要時間を短縮し、乗り心地を向上させると発表しました。
新幹線の信号保安装置「ATC」は、かんたんにいえば先行列車との間隔や線路の状況に応じて、その時点における制限速度を列車へ指示、それを越えるとブレーキを作動させる、という信号保安装置。山陽新幹線がこれまで使ってきたATCは、東海道新幹線開業当時(1964年)からの流れをくむアナログタイプのATCでしたが、これがデジタルタイプの高機能なATCになります。
従来のATCは停車駅に接近した際、たとえば270km/hから230km/h、170km/hといった具合に、制限速度を段階的に指示。列車はそのたびに「多段階」でブレーキをかけたり、緩めたりすることになります。これに対しデジタルタイプの新しいATCは、走行している速度から「1段階」のブレーキ制御で減速。滑らかにスピードを落とすことから、乗り心地が良くなるのです。なお、山陽新幹線と直通運転を行っている東海道新幹線、九州新幹線では、すでに高機能なデジタルATCが導入されています。
なお、在来線で使用されている「ATS」は「自動列車停止装置(Automatic Train Stop)」で、新幹線の「ATC」とは異なる保安装置です。
所要時間も短縮 歴代最短記録を更新
デジタルタイプの新ATC導入で、新大阪〜博多間の「のぞみ」「みずほ」は平均およそ1分、「こだま」は平均およそ15分、所要時間が短縮されます。
また、2017年3月のダイヤ改正で東海道新幹線に直通する定期列車の「のぞみ」「ひかり」はすべてN700Aタイプの車両による運転となり、東京〜博多間の所要時間は最大で7分短くなる予定です。
東京〜博多間の最短所要時間も更新されます。現在、最も所要時間が短い列車は博多18時58分発、東京23時45分着の「のぞみ64号」で、所要時間は4時間47分。これが1分、短縮されます。4時間47分というダイヤ改正前の時点で東京〜博多間の所要時間が歴代最短の列車でしたが、それがさらに短くなった形です。
ちなみに東京〜博多間は、山陽新幹線が岡山駅から博多駅まで延伸した当時(1975年3月)、6時間56分を要していました(開業後しばらく、三原〜博多間では路盤が安定するまで最高速度160km/hで運転)。それから約40年で最高速度は210km/hから300km/hになり、所要時間は2時間以上、およそ3割も短くなっています。