時間もコンディションも、日本だけの問題ではない。出場チームすべてに共通する話。問題の程度は、相手国との比較を通して初めて浮かび上がる。それぐらい、少し考えれば分かること。ハリルホジッチだって理解しているはず。にもかかわらず、不利を主張する。焦っているのか。あるいは、その点を突っ込まない日本人のメディアに安心しきっているのか。

 対戦する2か国のコンディションの状態を比べることは、そもそも不可能。不毛の議論だ。中立の立場でジャッジできる人は、ほぼ存在しないのだ。言い訳にはしにくいのだ。さらに言えば、その日、その場所で、試合があることはずいぶん前から分かっていることだ。コンディションを整えられなかったとの言い訳は、プロ監督として見苦しい。恥ずかしいとは思わないのだろうか。

 2006年ドイツW杯に出場したジーコジャパンの敗因は何かという話になったとき、ある人が「コンディションの問題ですよ」と、あっけらかんと言ったことを思い出す。「ピークをその何日か前に行われたドイツとの親善試合に持って行ったため、下降線を辿る中で初戦の豪州戦を迎えてしまった」のだ、と。開いた口が塞がらない状態とは、このことを指す。

 もしそれが事実だとすれば、サッカーの中身で負けることより遙かに大問題。恥ずかしい話でもあるので、口にしない方が身のためだと思うが、それをこちらに向けて発した人は、1人や2人ではなかった。コンディションのせいにすることで一件落着したがっているかのようだった。

 次戦の相手イラクは、時差に問題を抱える中東勢であり、戦争当事国。言い訳の材料はどう考えても日本より断然多い相手だ。勝っても大喜びは禁物(2次予選を戦ったアフガニスタン、シリアもそうした相手だったが)。もし万が一、引き分けたり、敗れたりしたならば、素直に頭を下げるしかない相手なのである。

 ハリルホジッチはそこで、どんな振る舞いをするのだろうか。再び、コンディションや時間の問題を口にし、メディアも同意し、素通しにすれば、いよいよ日本は危機に陥る。不幸へのカウントダウンに突入する。敗戦をコンディションのせいにする代表監督に欺される愚を、これ以上犯してはならないのだ。