店員にフルネーム名札は危険か 読売オンラインで大論争
コンビニ、スーパー、レストランなどで働く店員のネームプレートに、苗字や、ましてフルネームを書くのはまずくないか?そんな発言がネット上で注目を浴びている。今の時代は名前からフェイスブックやツイッターなどで人物が特定され、個人情報が晒される危険があったり、クレーマーやストーカー被害に遭いかねない、というのだ。
これについて「自分も被害者だ」という賛同の意見が寄せられる一方で、自分の名前を隠すというのは働くものとしての常識を逸しているという反対意見も多い。
「ストーカーされた経験もあります」
話題になっているのはYOMIURI ONLINEの「発言小町」に2016年8月2日に立てられた「販売職の名札に苗字はやめてほしい」というトピックス(画面上ではトピと表示)。コンビニ、スーパー、ドラックストア、レストラン、カラオケなどで店員が苗字、もしくはフルネームが書かれたネームプレートを付けているけれども、それがストーカー被害につながったり、ネットで名指しされ悪口を言われたり個人情報を晒される可能性もある。もちろん客も態度が悪い店員にクレームをつける際には誰なのか識別しなければならないため、
「番号や仮名を名札に表記したらどうでしょうか。というかそうしてほしい」
などと訴え、賛同を呼びかけた。
これについては賛否両論が渦巻くことになった。9日夕までに125のレスポンスがあり、最初の意見に賛成する人たちは、
「接客業してました。お客様は神様ですが、ストーカーにもなります。本当に怖いし気持ち悪いです。自宅がバレる前にパート辞めました。次は名札のないところで働きたいです」
「日本は姓名のバリエーションが多彩なため、個人が特定される可能性がより高いのに、安易にフルネームをさらして個人情報を調べられやすい状態にするのは、企業の危機管理上どうなのか...と思います」
「ストーカーされた経験もあります。今は名前から色々探りだせる時代。勤めている店と名前分かればだいたい何でも探りだせる。本当に廃止して欲しい」
「危険な現在において、本名を晒して不特定多数の前にいるのは怖すぎる。接客対応において、担当者を明らかにするのは必要な事ですが、だからって本名じゃなくていいでしょ、ホント、仮名や記号でいいと思います」
などという書き込みをしている。
一方、反対派は、
「この場合も、仕事でしょ?営業ですけど、名刺を配りたくありません。って言ってるのと変わらないですよ?店の形態によっては、本当に社員か分からない人から買いたくないってこともあると思うし、さすがにそれはナイですわ」
「名前を隠す位ではストーカー被害は防げません」
「名前を隠すような店では顧客登録はしたくないですね。こっちの情報は隠すけどそっちは出せってことでしょ。何だか傲慢。個人情報を知らない人の目に触れさせたくないのは客も同じ」
などといった意見が出ている。
本人が承諾していれば問題ない
一番の問題になっているのが、本名が「個人情報」の根本的なものであることだ。それを不特定多数の人の前で晒すのは、ネットが発達している現状では非常に危険なことであり、企業側の管理体制が問われる、というものだ。
これについて、コンサルティング会社、NECネクサソリューションズが公式ホームページ上の「個人情報保護対策室」で、こんな回答をしている。フルネームのプレートをつけるのは個人情報保護法に抵触するのかどうかについて、
「必要なことは本人が承知していること、あるいは同意していることであり、本人が同意していれば名簿を作り販売することも、ある営業店の窓口従業員一覧として廊下に掲示することも特に問題ではありません」
と書いている。もちろん、本人の承諾無しではフルネームのプレートを付けさせることはできないという。
本来ネームプレートというのはお客に対する店側の責任の証しであり、店員は顔と名前を覚えてもらい顧客に奉仕し、お得意様を増やしていく、という関係だ。しかし、流れ作業的な接客ですむ業種が増えて店と客の関係性が希薄になり、クレーマーや付きまといといった「事件」も多発している。さらに、ネットの検索機能の進化で、氏名から個人が特定される可能性も高まっており、フルネームを公開するのは嫌だ、と考える人が増えてきた、ということのようだ。