6月24日から(26日まで)オーストラリアのケアンズで『ビーチバレーボールAVCコンチネンタルカップ・ファイナル』が開催される。2ペア4人を1チームとし、国別対抗(男女とも出場8カ国)で行なわれる今大会は、アジアチャンピオン決定戦であると同時に、1カ月半後に迫ったリオデジャネイロ五輪の出場権をかけた戦いでもある。

 アジア枠として、今大会に割り振られている五輪出場枠は「1」。つまり、ここで優勝した国には五輪の出場権が1枠(1ペア)与えられる。また、2位、3位となった国は、ワールドコンチネンタルカップ・オリンピック予選(7月6日〜10日/ロシア・ソチ)へと回り、他の4大陸における大会で同様の結果を残してきたチームと対戦。リオ五輪への最終キップ(2枠)を争うこととなる。

 日本チームにとって、他との力関係を考えると、アジア以外の大陸のチームと出場権を争うワールドコンチネンタルカップで上位2位以内に入ることはかなり厳しい。五輪の出場キップを手にするには、今回ケアンズで行なわれるAVCコンチネンタルカップでの優勝が必須条件となるだろう。

 同大会に出場する日本代表女子チームは、西堀健実&溝江明香ペアと、村上めぐみ&石井美樹ペア。西堀と溝江はともに4年前、当時別の選手とペアを組んで、中国・福州で行なわれたAVCコンチネンタルカップ(兼ロンドン五輪予選)にも出場している。

 しかしその際は、準々決勝で敗れた。

 五輪予選という重圧がのしかかって、実力どおりのプレーができなかった。日本女子は、1996年アトランタ五輪から4大会連続で五輪に出場してきたが、その歴史を途絶えさせてしまったことで、ふたりは福州の地で大粒の涙をこぼした。

 あれから4年、西堀と溝江のふたりはその悔しさを糧にして、今回リベンジに燃えている。五輪出場への意欲もきわめて高い。

 前回の予選後、ふたりはリオ五輪出場を目指してペアを結成。2013年から積極的にワールドツアーを転戦し、欧州やアメリカ、南米チームのハイレベルなプレーにもまれてきた。その中で着実に力をつけて、ワールドランキングも上げていった。

 2014年のワールドツアーでは、開幕戦でナンバー1シードの中国ペアを破る金星を挙げると、最終戦の南アフリカ・マンガウングオープンでは準優勝。ふたりにとっては初の、日本勢としても14年ぶりとなる表彰台に上がった。

 さらに2015年には、日本で開催されたワールドツアー、横浜グランドスラムで9位と奮闘。ひと桁順位も珍しいことではなくなり、ツアーでも一目置かれるペアとなった。

 身長171cmの西堀と、176cmの溝江。海外に出れば高さでは劣るものの、自慢のディフェンス力をベースに、戦術的な駆け引きによって大型の外国人ペアに対抗する。バリエーション豊富なサーブも大きな武器だ。

 ワールドツアーで積み重ねてきた経験を生かして、そこで培ったスキルを存分に発揮できれば、AVCコンチネンタルカップでも十分に通用するはずである。

 また、今大会はビーチバレーボールでは特殊な団体戦となるが、それも西堀と溝江は4年前に経験済み。2ペア4人の"チーム力"が重要なカギとなることもよく理解している。村上&石井ペアをうまくサポートし、"チーム"として効果的な戦いも見せてくれるに違いない。

 相対するのは、ホスト国のオーストラリアをはじめ、中国、カザフスタンなど、確かに強豪国ばかり。アジアに衝撃を与え続けている新興勢力のバヌアツも警戒が必要で、前回の五輪予選で敗れたタイも侮れない存在だ。第1ラウンドから気が抜けない試合が続く。

 五輪予選となれば、ワールドツアーやアジア大会とは違った雰囲気となり、そのプレッシャーも相当なもの。栄光への道のりは、決して平坦なものではなく、非常に険しい。

 だが、前回予選で敗れたあと、西堀と溝江は揺るぎない信念を持って、この予選突破だけを見据えてきた。日本のエースペアが、大仕事を果たしてくれることを期待したい。

小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa