深夜勤務の人に「うつ」になる人が多いなど、生活リズムが乱れて体内時計が狂うと様々な健康被害があることは知られていたが、電気をつけっぱなしで寝ると、ほんの少しの明るさでもうつになりやすいことがわかった。

奈良県立医科大学の大林賢史特任助教らの研究チームがまとめ、2016年1月に日本疫学会学術総会で報告した。

豆電球1個半の明るさで1.8倍も危険に

これまでも、夜間に豆電球をつけて寝ると、体内時計のリズムが乱れ肥満や高血圧になるリスクが高まる研究がいくつかある。しかし、うつ症状はハムスターでリスクが高まる実験はあったが、人間ではなかった。

そこで研究チームは、奈良県に住む60歳以上の870人の協力を得て、寝室の明るさとうつ発症の関連を調べた。対象者は全員、「うつスコア」(うつ症状を示す度合い)が正常値の人ばかりで、寝室の明るさは実際にスタッフが訪問して照明センサーで照度(ルクス)を測った。

そして2年後に再び「うつスコア」を調べると、870人中74人(8.5%)がうつを発症していた。発症者と寝室の明るさの関連を調べると、5ルクス以上の明るさの人は、5ルクス未満の人に比べ84%も発症リスクが高かった。

ちなみに、家庭用豆電球の明るさが約2〜3ルクス、街頭の防犯灯の真下地面が約5ルクスという。5ルクスは豆電球1個半ほどだ。

今回の結果について、大林特任助教は「高齢者では、電灯をつけっぱなしで寝るのが健康によくないことが示されました。若い人ではどうなのか、これから研究したい」と語っている。