「食」を軸にして、市井の人々の日常を描き続けていることも多いエッセイストの大平一枝さん。新たなテーマとして選んだのは、都会の「定食屋」。どの街も小ぎれいなチェーン店が看板を連ねるなか佇む大衆食堂は、古めかしかったり、逆に即席感あふれるつくりだったりと異彩を放つ存在で、なんとなく気にはなるものの通り過ぎてしまう……という人も多いのではないでしょうか。大平さんも、もれなくそのひとりだったのだそう。