機械式の時計には人を惹き付ける不思議な魅力がある。これほど人を夢中にする精密機械はほかにない。もしかしたら人の脳には、この特別な機械に反応せずには居られない部分があるのでは。時計について30年近く時計の取材を続ける中で、私はそう考えるようになった。○■機械式に“ひと目ボレ”私が時計に本格的に興味を持ったきっかけは1990年代初めに、当時勤めていた出版社で小説部門からモノ情報誌の編集部に異動したことだった