画期的すぎる「自動ハチミツ採取巣箱」で養蜂家も涙目必至!

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クラウドファンディングサービスの『Indiegogo』で、あるプロジェクトの開始日と資金調達率を見て我が目を疑ってしまった。

本稿執筆時点でまだプロジェクト開始から2日目であるにもかかわらず、資金調達率が3,428%に達している! 調達した額は2,399,883ドルって、約2億8,600万円以上?

いったいどれほどのハイテク装置なのかと見れば、なにやらアナログ感満載の道具が紹介されている。その画期的製品とは、養蜂家が使うミツバチの巣箱だった。

しかしこの巣箱、ただの巣箱ではない。自動的にハチミツを採取できる巣箱なのだ。その仕組みは驚くほどシンプルな仕掛けによるもので、実にコロンブスの卵的な発明なのだ。

ハチミツを採取するのは危険で重労働だった

この画期的な巣箱『Flow Hive』を発明したのは、オーストラリアの養蜂家であるスチュアート・シーダー氏とその息子アンダーソン氏だ。

二人は蜂の巣に一切触れずに、また蜂たちにもストレスをかけずにハチミツを取り出す画期的なアイデアを実現した。

従来、ハチミツを採取するのは、かなりの重労働で危険も伴っていた。簡単に手順を記すと、まず蜂に刺されないために防護服を着ることから始まる。

そして煙で蜂を巣箱から追い出し、それでも蜂が大量に付いた状態のままの巣板を取り出さねばならない。

巣板についた蜂を刷毛などで取り除き、さらに巣板の中の蜂蜜を取り出せるように表面を削り、それを遠心分離器にセットしなければならない。これがなかなかにきつい作業らしい。

巣板を遠心分離器に掛けると、ようやくハチミツが取り出せるが、かなり不純物が混ざっているため、それを濾す作業も必要だ。ここまでやって、ようやく製品にできるハチミツが集められる。その後、巣板は再び巣箱に設置され、また蜂蜜が貯まることを待つことになる。

以上の作業は養蜂家にとっては危険で重労働であり、ミツバチにとってもストレスが多いし、傷つけてしまうこともある。しかし『Flow Hive』を使えば、ハチミツが貯まったことを透明なのぞき穴から確認したら、あとはバルブを捻るだけ。

そう、たったそれだけの作業で、不純物のない綺麗な蜂蜜が自動的に採取できるのだ。

養蜂家にとっては安全で手軽、ミツバチにとっては全くストレスがないという優れた発明品である。

こんな簡単な仕掛けに誰も気付かなかった

それでは『Flow Hive』にはどれほどハイテクな仕掛けが施されているのか、というと、これが実に単純な仕掛けだった。

『Flow Hive』では、予め蜂の巣の形状に作られた巣板が巣箱にセットされている。

すると、ミツバチはそこにせっせとハチミツを貯めるのだ。そしてハチミツが貯まったことを、巣箱の背面にある透明な窓から確認できたら、ハチミツを取り出すチューブを巣板の下部に取り付け、上部にあるバルブを捻る。

巣板の六角形部分が中央を境に上下にずれ、上から下までの互い違いの段に変わる。

この単純な仕掛けが画期的だった。

六角形に貯まっていたハチミツは、六角形がずれたことで重力によって下に落ちていく。そして巣箱の下に貯まったハチミツが、取り付けたチューブを通して巣箱の外側に出てくるのだ。

あとはそこに瓶などを置いて受けるだけ。ハチミツの状態にもよるが、20分から2時間程度で蜂蜜が自動的に採取できる。しかも採取した蜂蜜には、蜂の死体や羽などの不純物が混ざっていないため、すぐに商品化できるという優れものだ。

養蜂家にとっては福音だ

『Flow Hive』によって、養蜂家は安全に、そして手軽にハチミツを採取できるようになるし、ミツバチも傷つけられたりストレスを与えられることがなくなる。また、巣箱を開けていじくり回すことがないため、病気の感染も防げるとのことだ。

ただ、『Flow Hive』はセイヨウミツバチを対象に作られており、例えば日本のニホンミツバチなどには、巣のサイズが合うかどうかわからない。従って、すぐに日本でも利用可能かどうかは、製品化された段階で確認することが必要だ。

それにしても、今まで多くの養蜂家がこのアイデアに気付かなかったのだと思うと、感動的な発明である。

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【参考・画像】

※ Flow Hive Honey on Tap Directly From Your Beehive | Indiegogo