2013年10月2日にリリース。実況プレイ動画の投稿をきっかけに人気を集めたゲーム

写真拡大 (全3枚)

「何か面白いものをつくりたい!」
イラストや小説、イベントや企画など。形は違えど一度は思ったことはないだろうか。何か自分の手で作りたい。そう思って少し経つと、「才能がない」「自分にはできない」と諦める。胸に抱いた熱い想いに、フタをする。大人になって振り返ってみれば、そんなことばっかりだったような気がしてくる。まさに今、その葛藤のなかにいる人も多いだろう。
そんな方に今回、お伝えしたいのは「フリーゲームならその悩みが解決できるかもしれない」ということだ。
フリーゲームは、PCでダウンロードすれば誰でも無料で遊ぶことが出来るゲームのこと。そのほとんどがゲーム会社などではなく、一般人の手によって制作されているのが特徴だ。誰でも作れるうえに、誰でもプレイ出来るという手軽さが一番の魅力で、いま注目のジャンルのひとつになっている。
そんなフリーゲームの世界は今、新たな創作の場としても注目されている。先日小説化もされたホラーフリーゲーム『クロエのレクイエム』はまさにその流れをくんだ作品である。

ゲームのストーリーはこんな内容だ。

とある日の夜、主人公の少年ミシェルは、怪しい雰囲気の立ち込める洋館に辿り着いた。足を踏み入れると聞こえるのはピアノの音。その音をたどった先には、黒髪の美しい少女クロエがいた。彼女が言うには、この屋敷は呪われており、呪われてしまったら最後、外にでることができないという。その呪いを解く方法はただ1つ。

屋敷に隠された楽譜を探し、それを演奏することであった。次第に明らかになる呪いの正体。そして、浮き彫りになってくるミシェルとクロエの関係。彼らは無事屋敷の外に出れるのだろうか……。

一見グロテスクな雰囲気がするゲームだが、プレイしてみると可愛らしいキャラクターにふと癒される。さらに、ゲーム内で使われているオリジナルの楽曲も、クラシカルでゲームにぴったりだ。

一体、このゲームを作っているサークル「ブリキの時計」は、どんな人物なのか。その正体が明かされたとき、ネット上では驚きの声があがった。
なんと、「ブリキの時計」は16歳と19歳の女の子だったのだ。16歳のななしのちよさんは音楽制作を、19歳のぬばりんさんはキャラクターデザインをメインに担当。ゲーム内容については、何度もお互いの家で合宿をして、作り上げていったという。今まで、自作ゲームは男性、さらに言えばゲームファンがやるものと思われていた。彼女たちはそのイメージを壊し、誰もがゲームを作れる時代が来ていることを社会に知らしめたのである。

「面白い何かをつくりたい!」
その気持ちにフタをする時代は、フリーゲームによって壊されようとしている。必要な物は最低限の作業が出来るパソコン、そして何よりも「作りたい」という熱意だ。性別も年齢も関係ない、自由な世界があること。それを2人の少女は私たちに教えてくれたのかもしれない。
(ろっくまん)