ちっちゃくてもオトコたちを魅了した!「軽スポーツ」歴代コレクション・後編
ダイハツvsホンダの軽スポーツバトルが勃発寸前だ。ワゴンタイプや低燃費が注目される一方で、盛り上がりをみせる軽の本格スポーツカー。歴史を彩った名車を今こそ振り返ってみよう!
【本格的な軽スポーツが続々と登場!】
1990年代
90年代初頭はバブル最後のバカ騒ぎ! ミッドシップにフルオープン……と、ついに本物の軽スポーツカーがずらりと登場。しかし、93年にはワゴンRが登場して軽の価値観もガラリと変わり、軽スポーツが風前の灯に……。
■90年 ダイハツ ミラTR−XX アバンツァート
スズキの「ワークス」、三菱の「ダンガン」などの傑作ネーミングに出遅れた(?)ダイハツがミラ用にひねり出したのが「アヴァンツァート」。イタリア語でちょっとオサレ
■90年 ダイハツリーザスパイダー
スズキ、マツダ、ホンダが体育会系スポーツカーで真っ向勝負のなか、ダイハツはそことは一線を画す路線を突き進む。よく考えれば、これが後のコペンにつながったのかも
■91年 スズキカプチーノ
91年から92年にいっせいに登場した本格軽スポーツカーで唯一のFRオープン。軽トラの駆動系を使うなどコスト管理もうまく、最も古典的だったが、最も長く生産された
■91年 ホンダビート
ミッドシップでオープンカー。あのNSXとほぼ同時開発された弟分。エンジンは他社のターボに対して、ホンダらしい超高回転NA。速くはなかったが、8500rpmまで回った!
■92年 マツダオートザム AZ−1
ミッドシップにガルウイングドア……のマイクロスーパーカー。64馬力ターボでバカッ速なのに、操縦性は直線でも気を使うほど敏感。そのワル乗りっぷりは、いかにもバブル
■93年 スズキキャラ
当時のマツダの軽は、エンジンなどをスズキが技術協力して開発していたため、AZ−1はスズキブランドでも販売されていた
■92年 スバルヴィヴィオRX−R 4WD
89年のレガシィで「走り」に開眼したスバルが、肝煎りで開発。速さのなかにしっとりとした落ち着きのある走りは当時のトップクラス。最速のRX−Rは世界ラリーでも活躍
■93年 スバルヴィヴィオT−top
3台の本格軽スポーツカーが盛り上がる裏で、ダイハツとともにオサレオープンで対抗したスバル。3分割脱着ルーフと電動開閉リヤウインドーの七変化グルマ。しかも4人乗り
【ワゴンに制圧された軽スポーツ冬の時代】
2000年代
21世紀……軽の世界はハイトワゴンとスーパーハイトに完全支配された。それらになじまない軽スポーツは、当然のように冬の時代に入った。そこでひとり気を吐いたのが、90年代にはやけに冷めた態度だったダイハツ!
■02年 ダイハツコペン
98年のスズキ・カプチーノ終了以降、荒れ放題だった軽スポーツ界に咲いた一輪の花。電動格納メタルトップにハンドメイドボディという、ダイハツ技術の結晶だった
■02年 スズキKeiワークス
背高クロスオーバーのKeiがスズキ伝統の「ワークス」を引き継いだ。多少腰高だが、よく走った。このワイドボディ版であるイグニス(欧州専用車)がラリーに出ていたっけ
■03年 スズキアルトラパンSS
アルトワークスは2000年をもって生産終了。ついに軽ホットハッチもついえた……かと思ったら、突如として発売。ラパンのレトロデザインに硬派な走りはよく似合っていた
■05年 スバルR1
規制枠より小さなサイズで、個性的なデザインを与えた意欲作クーペ。ヴィヴィオ系シャシーで走りも高度。2010年に生産終了して間もなく、スバルも軽の自社生産から撤退(泣)
【軽スポーツ時代が再び訪れる……!?】
2010年代
ミライースのヒットによるハッチバックの復権、コペンのフルチェンジ、そしてホンダの軽スポーツ復活……と、まさかの明るいニュースが増えてきた2010年代。あの軽スポーツがメチャアツだった時代が再来の予感……。
■14年 ダイハツコペン ローブ
ずっと「軽唯一のスポーツカー」という孤高の存在であり続けてきたダイハツ・コペンが、12年ぶりにフルモデルチェンジ。今回は着せ替え可能なプラスチック外板が最大の特徴
■15年(予定) ホンダS660
昨年の東京モーターショーにコンセプト出展されたS660。ミッドシップや新型NSX風デザインなどは市販車にも色濃く反映されることは確定。ついに軽スポーツのバトル再来か!?
(文/佐野弘宗 写真/岡倉禎志[コペン ローブ、ビート])