「ゴジラになる」5歳の夢叶う、白血病と闘う男児に100人以上が協力。

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1年前に白血病と診断されて以来、完治に向けて辛い治療を続けている、米シカゴ在住の5歳の男の子。そんな彼はゴジラのファンで、治療を終えると父親が買ってくれるゴジラのおもちゃで遊ぶうちに、いつしか自分も「ゴジラになりたい」との願望を持つようになったという。そこで先日、彼の夢を知った市長など100人以上の大人が集結。シカゴ市内で映画撮影が行われ、彼はゴジラになる夢を叶えたそうだ。

米放送局ABCや米紙シカゴ・トリビューンなどによると、この男の子はシカゴ市内で暮らす、5歳のマデックスくん。昨年4月、急性リンパ性白血病を患った彼は、医者に「生存確率90%」との説明を受けたそうで、幸いにして深刻な状況ではないものの、それから完全寛解を目指してさまざまな治療を受ける日々が始まった。中でも、脊髄に針を刺して治療を行う時は、毎回痛みから「叫び声をあげる」。あまりに辛そうな息子を励まそうと、父親はこの治療を受け終わった後は、いつも彼が大好きな「ゴジラのおもちゃ」を買って渡すようになった。

マデックスくんは、祖父が映画で見せてくれたことをきっかけにゴジラのファンになったそうで、治療を行うたびに増えて行ったおもちゃの数も、今では「家中にひしめく」ほどに。そんなたくさんのゴジラに励まされながら、現在さまざまな治療に取り組んでいる彼は、病院の看護師に願望を尋ねられ、「ゴジラになりたい」と答えたという。そこで看護師は、病気と闘う子どもたちの願いを叶える活動を行っている「Make-A-Wish財団」イリノイ支部に相談を持ちかけたそうだ。

そして、財団は今年初めからシカゴの映画関係者らに接触し、協力を打診。さらには、シカゴ市長やニュースキャスター、NBAシカゴ・ブルズのマスコットキャラクター「ベニー・ザ・ブル」にも出演を依頼し、ついに7月16日から彼の夢を叶える映画撮影が始まった。

彼の役どころは、ゴジラと名前を掛け合わせた「マジラ」という怪獣。19日には100人以上のボランティアが集まって、シカゴ市内の各地を舞台に、ボートやヘリコプターなども使った大掛かりな撮影が行われたほか、800フィート(約240メートル)の彼が暴れ回る、200分の1で再現された街中のセットが作られるなど、5分の映画に協力者全員が出来る限りの力を注いだようだ。

心配された体力面にも問題なく、彼は撮影期間中はずっと「生き生きとして」(Make-A-Wishイリノイ公式サイトより)楽しんでいた様子を見せていたそう。そんな彼の姿を、父親は「いままで見た中で一番幸せそうだった」と話し、両親にとっても嬉しい数日間を過ごせたようだ。

なお、今回撮影された映画は、彼の歩みを紹介するドキュメンタリー作品と共に、8月に開かれる予定の上映会で披露される予定だという。