日南学園vs熊本工 コールドゲームの展開に持ち込め！
6回に本塁打を放った萩原聖翔(日南学園)
日南学園は序盤から打線が繋がり、着実に得点を重ねていた。先発したエースの横川颯薫(3年)は、初回に失った1点のみ抑え、5回を終えて6対1でゲームを折り返した。
相手の熊本工は、エースの山本 力也(3年)ではなく、背番号10の内田 稜(2年)が先発だった。そして6回からマウンドに上がったのは、背番号11の廣田 直人(2年)。エースがマウンドに上がらないという状況に、反対側のベンチから試合を見つめる、日南学園の金川豪一郎監督は、｢できればコールドゲームにしたい｣と考えていたという。
さらに指揮官には、自チームのエースである横川の球数が気になっていた。5回を終えて83球とやや多かったのである。これもコールドゲームに持ち込みたい一因になっていた。
狙いはグラウンド整備直後の6回表。一死から3番田久見大地(3年)が相手のミスで出塁した。
続く4番は萩原 聖翔(3年)。マウンドの廣田が1ボールから投じた2球目は直球だった。｢それまでの打席が詰まっていたので、打とうというよりは、しっかりと芯に当てようという意識だった｣という萩原のバットが反応する。直球を捕えると、｢打った瞬間にいったと思いました｣と話す打球がレフトスタンドに向かって伸びていった。コールドゲーム圏内の8点差とする2ラン本塁打。｢(宮崎県)予選から全然打てていなかったので、久しぶりに良い打球が打てた｣と萩原は笑顔でダイヤモンドを一周した。
後はこの点差のままで、残り2イニングを抑えればコールドにできる。 直後の6回裏、マウンドの横川は先頭打者の熊本工3番小山大晴(3年) にヒットを浴びるが、ここでも救ったのがキャッチャーでもある萩原。盗塁を狙った小山を、強肩で刺して7点差を守り抜いた。
球数が多かったことで、横川は6回を終えてマウンドを降りる。7回は二番手の柳 悠聖(3年)が、140キロの直球を武器に熊本工打線を無失点に抑え、狙い通りにコールドゲームで初戦を突破した。
（文＝松倉 雄太）
