鹿屋中央vs鎮西 鹿屋中央が打でセンバツ出場の鎮西を圧倒
4番木原（鹿屋中央）
鹿屋中央vs鎮西の試合は鹿屋中央が自慢の打撃力を発揮し、選抜帰りの鎮西を圧倒したゲームとなったが、両チームとも能力の高い野手が揃っていた。
まず先制したのは鹿屋中央。一死一、二塁のチャンスを作り、4番木原 智史（3年、178センチ85キロ 右投げ左打ち）。ここまで高校通算20本以上の本塁打を放っている強打者である。その木原が思い切り引っ張り、ライト線を破る二塁打に。
他の選手とは打球の鋭さが全く違う。本人は調子を崩しているというが、強打者の片りんを見せた一打だった。木原は肩の強さにも自信を持っていて、試合では見せ場はなかったが、シートノックではライトからダイレクトで届く鋭い返球を見せていた。
なおも一死二、三塁のチャンスで、鹿屋中央は5番木之下 慧(3年)の内野ゴロの間に1点を追加する。
対する鎮西は二死一塁から4番竹村 彰太(1年、一塁手)が打席に立った。175センチ103キロと恵まれた体格をした右の強打者。だが体重の割に重苦しさがなく、1回表の守りからなかなか軽快な動きを見せていた。その竹村が直球を捉え、三塁線へ鋭いライナー。三塁手のグラブをはじき、ファウルゾーンへ転々。竹村は全力で二塁へ駆け込んだ。積極的な打撃、サードのグラブをはじく強烈な打球と打者として強い印象を残した。
そして一死二、三塁から選抜で田嶋 大樹（佐野日大）から3安打を放った島崎 真門（3年、178センチ75キロ、右投げ右打ち）がライト前タイムリーを放ち、1点を返す。
ボールに逆らわない丁寧な打撃だった。島崎はこの日も1.9秒〜2.0秒前後のスローイングをたたき出しており、二塁ベース付近にコントロールできるのも良い。状況を見ながら投手に声をかけられる配慮の良さもあり、ドラフト候補として注目される捕手となっていくだろう。
鎮西の4番竹村選手
2回表、鹿屋中央は二死満塁からチャンスを作り、3番吐合 駿一郎（3年、右投げ右打ち、172センチ68キロ）が左中間を破る走者一掃の二塁打を放ち、5対1と突き放す。吐合は初球から果敢に振りに行く打者。一発よりも外野の間へ鋭い打球を打つのが特長で、木原のつなぎ役として、チャンスメイクに徹する場合もあれば、決める時もある。なかなか強力な3、4番である。ショートの守備も打球に対してどんどん前へ攻めていく積極的な守備姿勢が光っていた。吐合は4回表にもレフト前タイムリーを放った。
5回には2番徳重 仁(3年)のタイムリーなど2点を入れ、8対1と突き放す。
投げてはエース七島 拓哉(3年)が好投。左オーバースローから投げ込む常時120キロ後半(最速129キロ)の直球、スライダー、カーブ、スクリューを織り交ぜた投球スタイルで、初回こそ失点したものの、2回以降は安定した投球。安打を打たれた竹村には5回の第3打席でスクリューで空振り三振、島崎には6回の第3打席でカーブを3球続けて空振り三振に奪いリベンジを果たした。七島は7回裏も0点に抑え、8対1で鹿屋中央がコールドで初戦を突破した。
安打は6本のみだが、四死球を絡めての得点。勝負所で主軸の打者がしっかりと結果を残せるところが心強い。鹿児島には神村学園、樟南、鹿児島実など実力ある好チームは多いが、その3校に負けない実力を遺憾なく発揮した一戦だった。
（文＝河嶋 宗一）
