熊本工vs大島 熊本工、勝利を収めるものの、課題を残す一戦に
先制打を放った4番小野（大島）
選抜21世紀枠出場・大島と昨夏熊本代表の熊本工の一戦だ。先制したのは大島だった。二死三塁のチャンスを作り、ここで4番小野 浩之介(3年)が打席に立つ。小野は真ん中に入った直球を捕え、痛烈なレフト前タイムリーで1点を先制した。
小野は、選抜では4打数2安打。捕えた打球は実に鋭く、守備でも、シートノックで糸を引くような強肩を見せていた。強肩強打の外野手として、上のステージでも活躍が期待できる逸材だと感じさせた。
さて、試合の方に話を戻すと、1点を追う熊本工は、2回裏、一死満塁のチャンスを作り、、9番鶴田 舜(1年)のファーストゴロがエラーとなる間に三塁走者が生還。なおも一死満塁で、1番西山 天翔(3年)のショートゴロの間にで2対1と勝ち越しに成功する。3回には3番山本 力也(3年)がライトフェンス直撃の二塁打でチャンスを作ると、4番深水 裕貴(2年)の犠打を三塁で刺そうとした送球が逸れて、山本が生還し3対1。さらに4回裏には7番小山 大晴(3年)が右中間を破る三塁打を放つと、8番古城のレフト前ヒットで4対1と突き放した。
熊本工の投手陣では先発の山本が不調。180センチの長身、フォームもオーソドックスな右のスリークォーターで、常時130キロ前半(最速135キロ)を計測しており、右の本格派という印象を受けたが、この日はコントロールに苦しんだ。
そして山本は、4回表一死一、二塁でマウンドを降り、二番手で廣田 直人(2年)がマウンドに登った。廣田は120キロ中盤(最速127キロ)の直球、カットボール、スライダー、カーブを織り交ぜる技巧派左腕。「コントロールには自信があります」と本人が語るように、制球よく、リズミカルな投球で、無失点を続けた。
好投を見せた二番手・廣田（熊本工）
4対1で迎えた7回裏、熊本工は無死一、三塁から6番工藤 誠也(3年)のセンター前タイムリー。さらに一死一、二塁から8番古城が左中間を破る長打を放ち、二者生還で7対1。大島を突き放し、このままコールドまで持ち込むかと思われた。しかしあと1本が出ずに試合を決めきれない。
9回表、後がない大島は一死二、三塁から4番小野のセカンドゴロの間に1点を返した。その後、熊本工の敵失で、7対3としたが、反撃もここまで。熊本工が勝利を収めた。
試合後、熊本工・林幸義監督は「今日はあまり内容が良くなかったですね。要所での走塁ミス、守備のミス。コールドで決められる試合だったと思いますし、それができないのはまだ精神面の甘さがあると思います。能力はある選手たちなので、次の試合へ向けて修正をしていきたいですね」とコメント。
熊本工は主将の工藤、セカンドからショートへコンバートした182センチの大型選手・西山、パワフルな打撃を見せる高木の3人は甲子園経験者。
さらに3回にフェンス直撃の二塁打を放ち、野手として光る活躍を見せた山本など個々の能力は高く、もっと活躍出来るのではないかと期待したくなる選手ばかりだ。
2年連続の夏の甲子園へ向けて、いかに試合でその能力を発揮することが出来るのかが課題となってくる。熊本工の投打ともに更なる上積みを期待したい。
（文＝河嶋 宗一）
