成立学園vs都立足立新田
都立足立新田エース・秋吉
快晴の週末、八王子市民球場には、多くの高校野球ファンが集まった。この日の試合は、修徳対都立雪谷（観戦レポート）、そして、成立学園対都立足立新田。甲子園出場経験のある私立と都立の戦いに、注目が集まった。また、都立雪谷と都立足立新田はともに、好投手がチームを牽引していることも話題となっていた。12時22分、注目の都立足立新田の秋吉 飛呂が第1球を投じてプレーボールとなった。
秋吉の強みは、多彩な変化球を使い分けられることだ。決め球はカーブと縦と横のスライダー。しかし、その変化球を狙われて、初回12球で1点を失ってしまう。
一方、成立学園のエース木寺 凌世も立ち上がりは不安定だった。先頭打者の岩片 直也に、高く入ったストレートを弾き返され、三塁打を許す。内野のエラーも重なり、いきなりの3失点でハンデを背負った。こちらも従来のピッチングができず調子に乗れない。ただ、調子がよくなくとも、周りのカバーがあり、1失点で切り抜けた。
5回表、都立足立新田の秋吉は、ボール先行で制球が定まらず、四球を連発。一死満塁の場面で、代打に立った田村 凌太郎が左中間を抜く二塁打、9番木寺の右前安打で４失点を喫する。7回を投げ、被安打10、自責点6と満足のいかないまま春の試合にピリオドが打たれた。
成立学園・1番岩成
春季東京大会のメンバー登録は20名だが、成立学園は18名しか登録していない。さらに、選手のコンバートや入れ替えもあった。
リードオフマンの岩成 亮祐は、今春の本大会から、機敏さを買われてショートにコンバートされた。この試合では3安打を放ち結果を残しているが、菅沢 剛監督は、岩成の潜在能力を買っており、さらなる成長を期待している。
「岩成はもっと思い切りのよい選手。打つのも守るのも、これから」と監督。
背番号16の藤谷 耕平は、この大会から4番に抜擢された。この試合でも、3安打を放ち、抜擢してくれた監督の期待に応えている。チームが活性化してくれば、2年ぶりの甲子園も射程圏内に入る。
夏の背番号争いは、まだまだ続きそうだ。
都立足立新田は、この冬はグラウンドの改修工事があり、全くグラウンドは使用出来なかった。そこで小野 将幸監督は、春まで、グラブを使った練習をほぼせずに、ウエイトトレーニングに力を入れることにした。都立足立新田は、都立高校として唯一相撲部があるので、相撲部の顧問にもアドバイスを受けた。
「練習試合が解禁になると、明らかに打球の音が違うんです。2ケタ得点、2ケタ安打の試合ができるようになった」と小野監督はウェイトトレーニングの効果に頬を緩ませる。
秋吉の兄は、昨年のドラフトでスワローズに入団した秋吉 亮。兄も都立足立新田のOBで、中央学院大からパナソニックを経て、指名された。06年夏には、西東京で4強に進出している。それ以上の結果を残せるか。ラストスパートの準備は始まっている。
（文＝高校野球ドットコム編集部）
