日大三vs東海大菅生
先発・三輪昂平（日大三）
強い。思わずそう唸るほど、日大三はスキがなく、東海大菅生を圧倒した試合であった。
東海大菅生には昨年から中心メンバーであった高橋 優貴、小林大という両左腕に、勝俣 翔貴、冨塚樹也といった好打者もいる。個々の選手のレベルが高い、西東京の強豪対決に神宮第二球場は、スタンドの2階席も開放するほどの大入りであった。しかし勝負は初回であっさりついた。
日大三の先発は、春季大会は背番号10の三輪 昂平。秋季大会の準決勝の二松学舎大附属戦では、集中打を浴びて降板した苦い経験を経て、「コントロールをしっかりつけて、安定してきている」と、日大三の小倉全由監督は評価する。三輪は立ち上がり、やや硬さはあったものの、2奪三振の三者凡退で切り抜けた。
その裏の日大三は、中前安打の稲見 優樹を新井仁盛が送り、釘宮 光希は四球、廣谷 真也は左前安打で満塁。続く伊藤裕季也は四球で押し出し。
さらに続く秋葉和也、小藤 翼が連打したところで、東海大菅生は先発の高橋を諦め、早くも小林を投入。その小林も打ち込まれ、日大三は初回で打者15人を繰り出し、7安打、3四球、1敵失で、先発全員得点まで記録して10点を挙げた。
1回裏、5点目をあげる日大三
さらに日大三は2回に稲見の中前適時打、4回に秋葉の本塁打で2点を追加した。大量リードを得た日大三先発の三輪は、完全に肩の力が抜け、5回を55球、奪三振6で、四球を1つ与えただけの無安打無失点に抑えた。
日大三は秋季大会の時に比べ、三輪が安定しただけでなく、打線も鋭さが増し、日大三らしい強さを発揮するようになった。当面の目標は、都大会を勝ち抜いて関東大会に出場すること。春季大会は甲子園大会とは直接つながらないが、「お客さんのいるスタンドでプレーすることに意味がある」と小倉監督は語る。あえて反省材料を挙げるとすれば、点差が開いた状況だったとはいえ、東海大菅生、3番手の右腕・辻佳昴に2回を秋葉の本塁打による1点に抑えられたことぐらいか。
逆に東海大菅生としては、この試合の唯一の希望とも言える。この試合は打たれたとはいえ、評判の左腕2人に右の辻が食い込んで来れば、夏に向け、投手陣の層は厚くなる。「この点さほど、力の開きがあるとは思えない。全く勝てない相手ではないはずなんだけど……」と、東海大菅生の若林弘泰監督。とはいえ、０―12の5回コールドという現実は受け止めなければならない。メンタルの面を含め、夏に向けて、さらにチームを鍛え上げる必要があるのも確かだ。
昨年の春季大会でも東海大菅生は準々決勝で二松学舎大附に０−23という大敗を喫したが、夏は西東京大会の準々決勝で延長の末敗れたものの、好チームを作り上げてきた。雪の影響でグラウンドが使えるようになって1か月余りの東海大菅生としては、これから本格的にチームを鍛え上げてくるに違いない。
（文＝大島 裕史）
