南野と検索すると、「南野拓実」がトップに出てくる。今季のＪ１リーグではまだ得点をあげていないものの、シーズン序盤の主役と言ってもいい存在感を放っている。

　強気なプレーが頼もしい。シュートコースを限定されても、フォルランが並走していても、自分で決めようという意識を胸の奥へ押し込めないのだ。ゴールへの強い意欲が、持ち前のテクニックをさらに際立たせている。

　日本代表入りを期待する声も高まる。ほかならぬ南野本人も、ブラジル・ワールドカップ出場へ野心を燃やしている。

　ザックのもとで戦力と成り得る資質はある。問題は起用法だ。代表屈指のボリュームゾーンとなっている２列目に、南野の居場所はあるのか。香川、本田、岡崎をベンチへ追いやり、先発に食い込むとは考えにくい。途中交代のカードにも、清武や齋藤学がいる。ゴールへの意欲と技術を併せ持つ２列目のタレントは、すでに揃っているのだ。

　２列目を含めたアタッカーの選考は、勢いも大切な要素になってくる。南野がセレッソでゴールやアシストを量産し、彼以外の代表候補が所属クラブで精彩を欠けば、選出の可能性は高まっていく。ただ、既存のメンバーが一定水準のプレーを披露していくかぎり、南野の使いどころは見つけにくい。

　ワールドカップを勝ち抜くうえで必要なのは、ＦＷのジョーカーだろう。ゴール前へ迫力を持って飛び込んでいける川又、豊田、ハーフナー・マイクのいずれかを、ブラジルヘ連れて行きたい。

　サッカーは相対的なスポーツだ。自分たちの良さを発揮しつつ、相手を追い詰めることでも勝利を引き寄せるべきである。異なる個性としての高さを持つ以上は、活用方法を検討すべきだ。

　今回のワールドカップは、日本のパスサッカーで上位進出を目ざすという目的を帯びる。だからといって、手元にあるオプションを自ら排除するのはもったいない。勝利の可能性は1パーセントでも上げていくべきであり、そのなかには高さも含まれている。