「8億円」渡辺喜美氏に貸したDHC会長 規制緩和進めてもらう狙いがあった?
みんなの党の渡辺喜美代表に選挙資金として計8億円を貸していたと、大手化粧品会社「DHC」の会長が週刊誌で暴露した。収支報告書に記載はなく、公選法違反などに抵触する可能性があるが、報道では、渡辺氏の関係者は「個人的借金」と説明しているという。
「今回の都知事選は、猪瀬直樹知事が5000万円を受け取ったというところから始まったが、細川護熙元首相が辞めた時は億単位だった」。朝日新聞の記事によると、渡辺喜美氏は2014年1月11日の会見で、こう指摘してお金の受け取りを問題視していた。
行革に力を入れていた渡辺氏に期待
ところが、今度は、その渡辺氏自身にお金の受け取り問題がクローズアップされてしまった。週刊新潮は3月26日発売号で、吉田嘉明DHC会長の手記という形でこの問題を取り上げた。
記事によると、吉田会長は09年2月、知人の紹介で渡辺氏と知り合った。その後、みんなの党の立ち上げを考えた渡辺氏は、吉田会長に資金不足の悩みを打ち明け、地元・栃木の土地を買うよう依頼してきた。
吉田会長は、日ごろから、化粧品などへの厚労省の縛りが煩わしく、規制緩和が進まない現状に不満を感じていた。そこで、行革に力を入れていた渡辺氏に期待して、その土地を評価額よりやや高い1億8000万円余で購入した。
今度は、10年7月の参院選の直前になって、渡辺氏から「参院選のための資金」として3億円を借り入れたいとの依頼があった。吉田会長は、その依頼を快諾して、渡辺氏個人名義の口座にお金を振り込んだ。このときは、利息を書いた借用書があり、渡辺氏は、定期的に返済し計約2億5000万円は返したという。
12年12月の衆院選では、渡辺氏から選挙資金として5億円の依頼があった。このときも、吉田会長は渡辺氏の個人口座に振り込んだが、借用書は送られてこなかったそうだ。
渡辺氏「純粋に個人として借りたものです。使い道は私の判断で決めてまいりました」
吉田会長によると、渡辺喜美氏は、その後返済が滞り、連絡も少なくなった。渡辺氏はみんなの党が分裂してできた結いの党とトラブルになるなどして、吉田会長は、次第に渡辺氏に不満を募らせた。渡辺氏は2014年2月9日になって土下座して謝ってきたが、吉田会長は、その後も不満が収まらず、手記で告発することにしたという。
週刊新潮の報道を受けて、新聞各紙も渡辺氏の問題を報じており、収支報告書に記載がないことから、公選法違反などの可能性があると指摘している。渡辺氏は、13年5月の資産公開で、借入金を2億5000万円と記載しており、報道が事実なら、未返済分との差額3億円が不記載ということにもなる。
渡辺氏の国会事務所に取材すると、秘書が「今内容を確認しており、コメントを出す予定です」とだけ答えた。報道では、渡辺氏の関係者は、個人的な借り入れであり、金利も払っているので問題ない、とマスコミ取材にコメントしたとされている。
(3月26日20時30分追記)渡辺喜美事務所は3月26日20時過ぎ、
「お金は純粋に個人として借りたものです。使い道は私の判断で決めてまいりました。利息も含めてお支払いは私個人でしてまいりました。今後もそれを続けてまいります。お金を貸して頂いたことには深く感謝をしております。みんなの党の国会運営について吉田会長より何度もメールを頂いておりましたが、我が党の方針とは相容れず、お断り申し上げました。私の政治理念に反することは、たとえお金を融通して頂いた方でも承服はできませんでした」
とする渡辺氏のコメントを発表した。
DHCの広報担当者は、取材に対し、「会長の個人的なことになりますので、会社としてコメントできかねます」と話している。