春・夏も危険!アソコが冷えると病気になる?

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 「頭寒足熱」という言葉があるように、健康のためには「足を温めて頭を冷やす」ことがいいとされています。
 でも、頭を冷やすのはいいとして、温めるべき「足」が下半身全体を指すのか、膝から下のことのなのか、それとも足の裏のことなのかよくわからないという人は多いはずです。
 この疑問にすっきりと答えてくれるのが、『病気になりたくなければふくらはぎを温めなさい』(講談社/刊)の著者でせき接骨院院長の関博和さん。
 今回は関さんにインタビュー、健康と「足」の関係についてお話を伺いました。その後編をお送りします。

―血行を良くするという意味では、ふくらはぎを「揉む」というのも一つの方法だと思います。関さんが「揉む」よりも「温める」方がいいとされているのは何故ですか?

関:私は、血行を良くするという意味では、「揉む」よりも「温める」方がより効果的であり、簡単であると思っております。しかし、これは実際には、比較されるものではないと思っております。その理由の一つとしては、常に“ふくらはぎ”の血行を良くしておくことを考えた場合、常に“ふくらはぎ”を揉みつづけることは、実際には難しいでしょう。対して、“ふくらはぎ”を温めることは、いつでも誰でも簡単にできることです。
二つ目の理由としては、私も施術の中で、“ふくらはぎ”に対して刺激を加える手技をしておりますが、同じ「揉む」ということをするのであれば、冷えて硬くなった“ふくらはぎ”を「揉む」よりも、温かめて柔らかくなった“ふくらはぎ”を「揉む」方がより効果的なのです。ですから“ふくらはぎ”を温めることは、「揉む」より先にやって欲しいことです。
また、手の小さな女性の方や、握力の弱いお年寄りの方が、毎日自分の“ふくらはぎ”を「揉に続ける」ことは大変だという声もあります。それに比べれば、「温める」ことは、誰にも簡単にできることだと思います。

―顔のゆがみの原因になるというのには驚きました。ふくらはぎの冷えと骨格にはどのような関係があるのでしょうか。

関:人間の頭の構造に関してお話ししておきます。
人の頭は、23個の骨が組み合わさって形成されています。難しいことは省略させていただきますが、その23個の骨は不動のものではなく、呼吸と同じように僅かですが動いています。そして、目はいつも床と平行になるように保とうとしています。これを覚えておいてください。
ふくらはぎの冷えと骨格の関係ですが、人の体を支える一番の下は足の裏です。その足の指を動かす筋肉も、土踏まずを安定させるための筋肉も、ほとんどが、実は“ふくらはぎ”の筋肉です。筋肉には、浅いところにある筋肉と、深いところにある筋肉があります。“ふくらはぎ”に関しては、浅い所にある筋肉は、内・外側腓腹筋、ヒラメ筋(=下腿三頭筋)などで「アキレス腱」の元です。これらの筋肉は、足首を動かしたり膝を曲げる時に働きますが、これらの筋肉の下層にある、深い所の筋肉は、足の指を曲げたり、足首の捻る時に使われます。ふくらはぎが冷えてこれらの筋肉が硬くなると、「伸縮運動」がうまく行われなくなるわけですが、左右同じ様に硬くなれば問題ありません。ただ、まずそのようなことはなく、左右の違いは必ず起こります。実際に、当院に来院されている患者様の足首の硬さも、左右の比較をしてみると、症状が重い方ほど左右の硬さが違います。
足首の左右の硬さが違うということは、体を支える足裏のバランスが崩れることになり、その結果骨盤の歪み、背骨の歪みが起こります。家で例えると、土台が崩れると柱がゆがむということになります。建築物であれば崩れてしまうところですが、人はバランスを保とうとします。どこで、バランスを保とうとするかというと、首を傾けて頭の位置を調節するわけです。
ここで、初めにお話をさせて頂きました頭の構造を思い出してください。
首を傾けてバランスを取ろうとしても、目はいつも床と平行になるように保とうとします。首が傾いたまま目だけ床と平行になった姿を想像してみてください。傾いた首を元に戻したら、目の高さが左右違うことになります。これが、顔の歪みです。
逆に、顔のゆがみのある方は、身体の歪み(背骨・骨盤)も必ずあると思ってください。
 
―ふくらはぎを冷やさない生活習慣としてどのようなものが挙げられますか?

関:まずは“ふくらはぎ”を露出しない服装をすることです。現実的には難しいこともありますが、大切なことは「意識する」ことだと思います。また、冬はそのようなことはありませんが、夏になると、夜寝る時に短パンを着用したり脚を布団から出して寝たり、布団をかけない人がいます。また、エアコンも使って部屋を涼しくして寝る人もいます。その結果、朝方になると寒くなって目を覚ますことがありますが、これは、体全体がかなり冷え切ってしまった状態です。その結果、体調不良を起こしやすくなります。
「頭寒足熱」といわれる通り、夏であっても脚は冷やさない方が良いです。暑い時でも、スウェットパンツのように“ふくらはぎ”が露出しないように、夜中にパンツの裾が上にめくれないような服装で寝てください。また、頭の部分は、氷枕等冷却枕を使用されると、良く眠ることができます。

―また、ふくらはぎは可能であれば一日中温めているほうがいいのでしょうか。温めるべきタイミングなどがありましたら教えていただければと思います。

関:私の接骨院受診されている患者様には、“ふくらはぎ”は、一年中冷やさないように、入浴時以外は常に、サポーターの装着を積極的にお勧めしております。実行していただいている方からは「もう、手放すことができません!」「サポーターをはめていないと落ち着かない」というくらい、温めることは気持ちもいいものです。
都市部のように夏場かなり暑いところで生活している方でも、サポーター等を可能な限り冷やさないよう装着していただくことをお勧めします。

―本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

関:この本は、前著『「ふくらはぎを温めるだけ」で全身健康になる!』(講談社:2011年7月出版)をベースに、新たな情報や患者様の体験談等を加筆したものです。前著は活字が大きかったこともあって、比較的年齢の高い層の方々に読んでいただいた傾向がありますが、本書は、文庫本ということで、通勤の電車や待ち合わせの時に気軽に読める、ということでより多くの方に読んでいただけるのではないかと思っています。値段も手ごろですしね。
特に、これからお母さんになる、若い女性の方々に、是非読んでいただきたいという思いがあります。“ふくらはぎ”を冷やすということの怖さ、“ふくらはぎ”を温める大切なことを、若い年齢の内から知っていただきたいと思います。
“ふくらはぎ”を冷やすことで起こる体の不調は、冷やしてすぐ出るものではなく、時間の経過とともに積み重ねで起こるものが多いものです。ですから、今のうちにぜひ読んでほしいですね。

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

関:この本を読んでいただき“ふくらはぎ”を温めることの重要性を感じていただいた方は、あなたの大切な人に、是非そのことを伝えてください。
私は“ふくらはぎ”を「福良入氣」と書いて説明しています。これは、私の作った造語であり、実際にはこの様には書きませんが、「良い氣を入れることで幸せ(=健康)になる」それだけ大切な所だと思っております。
また、「足を冷やしてはいけない」といわれる「足」は、これからは、“ふくらはぎ”から下の部分であるということを、世の中の常識として伝えていってほしいと思います。
(新刊JP編集部)