リビングが広々と見えるようになる片づけ術

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 部屋が片付かない。横着な自分がいけないのだ…と考えがちだが、実は「家がいけない」のだ。
 もっと辿れば、設計した人の責任と考えることもできる。家を設計する段階で、収納や片づけといった日常生活に関わる部分をもっと考慮していれば、散らからない家になっていたかもしれないのだ。

 『片づけの解剖図鑑』(鈴木信弘/著、エクスナレッジ/刊)は、住宅=人間を見つめなおす糸口となる26通りの視点をテーマごとに述べたものだ。
 片づけの技術論、精神論以前の大問題を建築的に解剖した「住まいの解剖図鑑シリーズ」第2弾となる。

 家はどのようにつくっておけば散らかりにくいのか。住宅そのものを見つめなすというのが本書のテーマだ。とは言っても、もう建ててしまった、マンションに住んでいるという人はそんなことを言われてもどうしようもないだろう。
 でも、実はリビングの家具の配置を変えたり、置いたりするだけでも、散らからない部屋になるのだ。
 リビングのテーブルには、マグカップ、テレビのリモコン、読みかけの新聞、箱ティッシュ・・・さまざまなモノが置かれていることが多い。これらが所狭しと折り重なるテーブルは、片付かないリビングの象徴ともいえる。テーブルの上にモノが溜まるのは、モノの置き場所がそこしかないからだ。日常生活に欠かせない細々としたモノの行き先を、あらかじめ計画しておくことが収納設計の真髄といえる。

 そもそも無精者の住人のそばにテーブルがあるからモノが溜まっていってしまう。リビングの片づけは、そんなテーブルの「小物置き場」の役回りから早く解放してあげることから始めるべきだという。
 例えば、ソファの横に小さなテーブルを置く。ソファの近くにローチェストなどを置く。リビングのテーブルにモノがないというだけで部屋はすっきり見えるということだ。いっそのこと、「テーブルを置かない」というのも一案だ。カラダを動かすテレビゲームが気兼ねなくできたり、DVDを見ながら、ダイエットに励んだり、ヨガのレッスンを受けたりもできる。
 ただ、ローチェストなどを置くには、それなりの広さのリビングが必要となる。狭いリビングではどうしたらいいのだろうか。
 テレビとソファを平行に置かずに、直角に置いてみることだ。最近では「テレビの前は広くあけておきたい」という気分の現れからこのような配置にする家庭も多い。

 なぜ散らかってしまうのか。注文住宅で家を建てる、リフォームを考えているという人はもちろんのこと、そういう予定はないが家が散らかってしまうという人も、部屋の模様替えの際の家具の配置など、本書で紹介されているアイデアは参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)