睡眠時間の短縮は寿命を削る? 専門家が警鐘
世界最高水準の長寿を誇る日本ですが、その裏では、がんや内臓の疾患などにより、長い闘病の末、寝たきりになりながら亡くなっていく方が多くいます。
やはり、理想的な死に方は“ぽっくり逝く”こと。つまり、老化にいる代謝や免疫、回復能力の不全が原因で静かに亡くなっていく「老衰死」です。では、若い世代にとっては、将来長生きしてぽっくり逝くために今のうちにできることはなんでしょうか。そして、これから退職後のセカンドライフを送ろうとしているシニア世代は、家族に迷惑をかけずに余生を過ごすにはどうすればいいのでしょうか。
今回は『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』(あさ出版/刊)の著者である、安眠ドクターの大谷憲さんと、血流カウンセラーの片平健一郎さんのお二人にインタビューを行いました。
■“睡眠時間”が超大事なワケとは? 免疫と血流の専門家に聞く!
――本書を執筆したきっかけから教えていただけますか?
大谷さん(以下敬称略):今、寝たきりや認知症などの介護が社会問題化していますよね。それを減らすためには、質の高い睡眠が必須なんです。それを伝えるために、この本を企画したのですが…認知症の方は今、日本にどのくらいいると思いますか? 老人性だけの数で。
――50万人くらいでしょうか。
大谷:そのくらいなら、社会問題にはならないですよ。少し前までは100万人といわれていましたが、今は462万人です。そして、400万人が予備軍と言われています。だから、高齢者の4人に1人が認知症予備軍に入る計算なんですよ。こうなると他人事じゃなくなるでしょ? そうならないためには、早いうちに予防をするしかないんです。
片平さん(以下敬称略):それに、認知症は本人だけでなく、家族にも重くのしかかってくるものですからね。
もう一つデータを紹介させてください。これは本にも書いてありますが、老衰で亡くなる人の割合はどのくらいかというと、全体の4.2%なんです。やはり多い死因はガンですね。
大谷:ガンは血流の悪さによって引き起こされます。体温が高くなれば免疫力を増すということはよく知られていますが、それは質の高い睡眠から生まれるものです。だから眠りに気をつけることで、リスクを回避できるといえます。
――質の高い睡眠とは、どのような睡眠なのでしょうか。
大谷:これは単純に言えば、「あたためながら寝る」ということですね。今は冷え性の人が多いけれど、実はしっかりと寝ることができていないということなんですよ。脳が休まって手先の血流がよくなっている状態、つまり体温が上がっている状態が「質の高い睡眠」と言えるんです。
体が冷えてしまっていると、浅い眠りにしかならない。浅い眠りでは細胞が若返りにくいんです。また、夜の10時から夜中の2時かけて、成長ホルモンが活発に分泌されるゴールデンタイムと呼ばれる時間があります。最近の研究では、寝ついたあとの眠りの深さに比例するともいわれていますから、その時間にいかに深い睡眠をとるかが大事なんですね。この本で書いていることは、そのためのノウハウなんです。
――今、低体温の人はざらにいますよね。35度台の方とか。
大谷:平均の体温が36度か36度1分くらいですからね。半分が35度台ですよ。
片平:35度台になるとガンになるリスクが急にあがりますからね。
――忙しくて睡眠時間を削っているビジネスパーソンも少なくありません。だから、ショートスリーパーが持て囃されたりすることもあるのですが、そもそも短い睡眠時間で質の高い睡眠は取れるのですか?
大谷:質が高いとはどういうことか、ということにもよりますね。短い時間で深い睡眠ならば良いかというとそうではなくて、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルである程度時間を取らないと、記憶が定着しないということがあります。だから、短眠法を実践しても記憶が定着できなければ、効率の良い仕事はできなくなりますよね。
あとは、やはり体調面です。睡眠時間が取れないと免疫力が落ちるので、それで仕事の足かせになってしまうこともあります。だから、質と量は大事ですね。
睡眠時間に悩んでいる人は、意外と帰ってから寝るまで長かったりするんです。パソコンやったり、テレビを見たりして。仕事が忙しい人は、その時間を削って睡眠にあててみてはいかがでしょうか。
片平:自分の能力をあげれば、仕事の時間も短くなるはずですから。睡眠時間は7時間半、確保してほしいですね。多少の増減はいいのですが、ちょうどレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが90分なので、ちょうど7時間半がベストです。
――では、寝だめというのは効果があるのですか?
片平:そうですね。統計上では、睡眠時間が少し短くても週に2回きちんとした睡眠の時間を取れる日があれば、睡眠のサイクルをある程度正常な状態に戻せるといいます。でも、それでも良くないものは良くないのですけどね。休みだからたくさん寝るというのは、リズムが乱れますので。
――先ほど体温を上げることが大事だとおっしゃいましたが、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
大谷:まずは睡眠ですね。体温の中でも、特に第二の脳といわれる腸は睡眠が大事になります。あとは、本にも書いたのですが、遠赤外線で体をあたためるといいです。温泉や日光浴が体をあたためてくれるのも、遠赤外線の効果ですよ。
――でも、特にデスクワークの仕事なんかは日光にあたる機会もないですし、体が冷える環境で仕事をしているということですよね。
大谷:そうですね。それにストレスで交感神経が優位になっているから、体が緊張して毛細血管まで血流がいかなくなって冷えてしまうということもあります。
(後編へ続く)
やはり、理想的な死に方は“ぽっくり逝く”こと。つまり、老化にいる代謝や免疫、回復能力の不全が原因で静かに亡くなっていく「老衰死」です。では、若い世代にとっては、将来長生きしてぽっくり逝くために今のうちにできることはなんでしょうか。そして、これから退職後のセカンドライフを送ろうとしているシニア世代は、家族に迷惑をかけずに余生を過ごすにはどうすればいいのでしょうか。
■“睡眠時間”が超大事なワケとは? 免疫と血流の専門家に聞く!
――本書を執筆したきっかけから教えていただけますか?
大谷さん(以下敬称略):今、寝たきりや認知症などの介護が社会問題化していますよね。それを減らすためには、質の高い睡眠が必須なんです。それを伝えるために、この本を企画したのですが…認知症の方は今、日本にどのくらいいると思いますか? 老人性だけの数で。
――50万人くらいでしょうか。
大谷:そのくらいなら、社会問題にはならないですよ。少し前までは100万人といわれていましたが、今は462万人です。そして、400万人が予備軍と言われています。だから、高齢者の4人に1人が認知症予備軍に入る計算なんですよ。こうなると他人事じゃなくなるでしょ? そうならないためには、早いうちに予防をするしかないんです。
片平さん(以下敬称略):それに、認知症は本人だけでなく、家族にも重くのしかかってくるものですからね。
もう一つデータを紹介させてください。これは本にも書いてありますが、老衰で亡くなる人の割合はどのくらいかというと、全体の4.2%なんです。やはり多い死因はガンですね。
大谷:ガンは血流の悪さによって引き起こされます。体温が高くなれば免疫力を増すということはよく知られていますが、それは質の高い睡眠から生まれるものです。だから眠りに気をつけることで、リスクを回避できるといえます。
――質の高い睡眠とは、どのような睡眠なのでしょうか。
大谷:これは単純に言えば、「あたためながら寝る」ということですね。今は冷え性の人が多いけれど、実はしっかりと寝ることができていないということなんですよ。脳が休まって手先の血流がよくなっている状態、つまり体温が上がっている状態が「質の高い睡眠」と言えるんです。
体が冷えてしまっていると、浅い眠りにしかならない。浅い眠りでは細胞が若返りにくいんです。また、夜の10時から夜中の2時かけて、成長ホルモンが活発に分泌されるゴールデンタイムと呼ばれる時間があります。最近の研究では、寝ついたあとの眠りの深さに比例するともいわれていますから、その時間にいかに深い睡眠をとるかが大事なんですね。この本で書いていることは、そのためのノウハウなんです。
――今、低体温の人はざらにいますよね。35度台の方とか。
大谷:平均の体温が36度か36度1分くらいですからね。半分が35度台ですよ。
片平:35度台になるとガンになるリスクが急にあがりますからね。
――忙しくて睡眠時間を削っているビジネスパーソンも少なくありません。だから、ショートスリーパーが持て囃されたりすることもあるのですが、そもそも短い睡眠時間で質の高い睡眠は取れるのですか?
大谷:質が高いとはどういうことか、ということにもよりますね。短い時間で深い睡眠ならば良いかというとそうではなくて、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルである程度時間を取らないと、記憶が定着しないということがあります。だから、短眠法を実践しても記憶が定着できなければ、効率の良い仕事はできなくなりますよね。
あとは、やはり体調面です。睡眠時間が取れないと免疫力が落ちるので、それで仕事の足かせになってしまうこともあります。だから、質と量は大事ですね。
睡眠時間に悩んでいる人は、意外と帰ってから寝るまで長かったりするんです。パソコンやったり、テレビを見たりして。仕事が忙しい人は、その時間を削って睡眠にあててみてはいかがでしょうか。
片平:自分の能力をあげれば、仕事の時間も短くなるはずですから。睡眠時間は7時間半、確保してほしいですね。多少の増減はいいのですが、ちょうどレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが90分なので、ちょうど7時間半がベストです。
――では、寝だめというのは効果があるのですか?
片平:そうですね。統計上では、睡眠時間が少し短くても週に2回きちんとした睡眠の時間を取れる日があれば、睡眠のサイクルをある程度正常な状態に戻せるといいます。でも、それでも良くないものは良くないのですけどね。休みだからたくさん寝るというのは、リズムが乱れますので。
――先ほど体温を上げることが大事だとおっしゃいましたが、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
大谷:まずは睡眠ですね。体温の中でも、特に第二の脳といわれる腸は睡眠が大事になります。あとは、本にも書いたのですが、遠赤外線で体をあたためるといいです。温泉や日光浴が体をあたためてくれるのも、遠赤外線の効果ですよ。
――でも、特にデスクワークの仕事なんかは日光にあたる機会もないですし、体が冷える環境で仕事をしているということですよね。
大谷:そうですね。それにストレスで交感神経が優位になっているから、体が緊張して毛細血管まで血流がいかなくなって冷えてしまうということもあります。
(後編へ続く)