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せっかく住宅を買うなら、資産価値が上がる町を選びたいもの。過去10年のデータと、今後の都市開発計画から、「これから値上がりする町」を予想する。

■値上がりする町の要件とは

住宅を購入するなら価値が下がらないことはもちろん、できれば値上がりする町を選びたい。

ここでは2002年に新築で分譲されたマンションの価格と、10年後の中古価格を比較、そこから値上がりした町、値下がりしにくい町をピックアップした。過去に値上がりした町に共通する要件が、今後、価格が落ちない町を考えるうえで参考になるはずだからである。一目見てわかる通り、上位にはその地域の中心地が並んだ。

「将来的に値下がりしにくい町には3つの要件があり、1つは人口集積性が高く、それらの人向けに施設、サービスが集中していること。2つ目は事業所の集積。そして、もう1つが交通の利便性。これには都心か、郊外かという意味での広域の利便性と、最寄り駅からの距離である狭域の利便性があり、いずれも便利なほうが有利」(東京カンテイ・中山登志朗氏)。

リセールバリューが100%を超える町では10年住んだ後に売却しても、購入時と同等またはそれ以上の価格で売れることになり、住居費だけで考えると10年間タダで住める計算に。

「買えるものなら都心に買うと値上がりが期待できます」

といっても、都心は高すぎて手が出ない。それでも多少の値上がりを期待するなら、今後交通利便性がアップ、人口や事業集積性が高まる可能性がある場所を狙おう。具体的には新線・新駅ができる町、相互乗り入れなどで利便性がアップする町、再開発で人口増が期待できる町など。実際、データでも再開発が続く武蔵小杉を擁する川崎市中原区や、宅地開発の続く東京都江東区、大阪市福島区などが散見され、こうした開発に一定の効果があることがわかる。

また、資産価値が高くても都心は人が多くて嫌、住宅には居住性を求めたいと考えるのであれば、郊外で一戸建てという手がある。「郊外では一戸建てを欲しがる人が多く、売却時にも売却差損が少なく、合理的」と中山氏は言う。具体的にはターミナルから電車で30分、ドアツードアで1時間程度、距離にすれば30キロ以遠のエリア。

「西側だと東京〜横浜が30キロで、それ以遠なら一戸建てでしょう。東側はもっと近くて20キロ以遠のエリア。柏が上野から20キロで、それ以遠です」

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中山登志朗
東京カンテイ市場調査部上席主任研究員。現在、不動産市況全般の調査・分析を担当している。市況レポート「Kantei eye」編集長。金融機関やデベロッパーに幅広い人脈を持ち、講演などで活躍している。

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(住まいと街の解説者 中川寛子=文 PIXTA=写真)