『KAMINOGEvol.25』ジブリの“過激な仕掛け人” 鈴木敏夫with川上量生インタビュー掲載号。

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宮崎駿監督はスケベか?
どうも「宮崎駿監督はロリコンだ」「宮崎駿監督はスケベだ」という発言をときどき見かけるのだ。
なぜだろう。
「違う。そんなことないよ!」
ピュアなファンとしては、憤慨しながら、そう答えたい。

だが、しかし!
スタジオジブリ代表取締役の鈴木敏夫プロデューサーが、この疑問を肯定するようなことを喋っているのだ。
インタビューが掲載されたのは、『KAMINOGE[かみのげ]vol.25』。
プロレス雑誌だが、これまでも、井上雄彦(vol.24)、宮藤官九郎(vol.20)、甲本ヒロト(vol.14)など多彩な人が登場しており、“ボクらは「とにかく強い人に会いに行って、圧倒されて腹を見せて帰る」ということを商いでやっている”というコンセプトの雑誌だ。

“鈴木 ああ、やっぱり男だから女性が好きなのは当たり前で、そういうことを言うとボクは宮さん(宮崎駿)の作る映画を観てきて常々思ってきましたよね、「この人はホントに女性が好きなんだ」っていうのは。”
この発言を皮切りに、いかに宮崎駿作品がスケベかを力説。
『風立ちぬ』は“ホントにスケベな映画”と断言。
さらに“でも一貫してそうなんですよ。例えば『天空の城ラピュタ』でね、ラピュタの近くまで行って、シータとパズーが狭いところで2人で顔を覗くシーンがあるじゃないですか? なんてあそこ、あんなに狭いのかって(笑)。それは「くっつけよう」っていうだけでしょ”。
『千と千尋の神隠し』の冒頭の両親が豚になって、千尋が街をウロウロするのをカメラが俯瞰で追いかけるシーンを、“あれってなんですか?”と問いかけ「ストーキング的な視点ですか?」という応答を受けて、“江戸川乱歩でしょう! ボクは「こんなものを世に出していいんだろうか」って思った。だって公序良俗という観点からいったら「いかがなものだろうな」って思いましたよ。あの目線ってそれでしょ。簡単に言うと、いたいけな娘を閉じ込めておいて、それをみんなでいびって上からカメラで撮ってるってことでしょ?”
『千と千尋の神隠し』は、監督本人が“「今の世界として描くには何がいちばんふさわしいかと言えば、それは風俗産業だと思うんですよ。日本はすべて風俗産業みたいな社会になってるじゃないですか」”とも発言していて、“娼館を舞台にした物語”と解釈もできる(→今夜金曜ロードSHOW「千と千尋の神隠し」7つの謎、舞台はほんとに風俗産業!?)。
鈴木さん、暴走して、『ハウルの動く城』『耳をすませば』も、エロス視点で解説しまくり。
『紅の豚』を“「中年のジジイが両手に花」って話”だと指摘し(たしかに、ジーナに惚れられていて、さらに若い娘のフィオといちゃいちゃする映画では、ある)、プロデューサーとして困ったと告白する。
“「これ、若い男の子は観てくんない」と思ったんですよ。だってジジイがいい思いする映画だもん。”

ううむ。長年、宮崎駿監督と共に映画を作ってきた鈴木敏夫プロデューサーが言うと説得力がある、というか、たしかに話していることはもっともだ。

だが、『風の谷のナウシカ』はどうだ?
ナウシカは、少女だが、自分の手で人を殺すこともある冷酷さを持つ人間だ。
スケベな感じは微塵もない。
ハードな物語だ。
と思って、再見した。
DVD『風の谷のナウシカ』にはオーディオコメンタリーがついている。

映像にあわせて、原画担当の庵野秀明、演出助手の片山一良のふたりが話している。
1時間22分目あたり、ペジテの者たちが、王蟲を使って風の谷を襲わせようとしていると告げ、抵抗するナウシカを取り押さえるシーンの後。
庵野秀明の発言「ここのね胸の揺れ戻しが、なかなか素晴らしい」
それに片山一良が答える「そういう意味ではハシリか」
庵野秀明「胸を揺らすというのを最初にやったのは宮崎駿じゃないかとワシは思うんです」
えええー。アニメの乳揺れ表現の創始者は、宮崎駿監督だったのか!?

さらに、1時間29分あたり。
風の谷を救うためにメーヴェに乗り、コルベットの襲撃から逃れるシーン。
飛行するナウシカを真後ろのカメラから捉えている映像で。
片山一良「(宮崎駿が)自分でね、こんなところで大股広げて飛んでるのはしたない、ウッシッシってやってんだよね」
庵野秀明「まあ、オヤジだから」
片山一良「なんてはしたない娘なんだ、って」
庵野秀明「しょうがないオヤジだなぁ……トホホ」
ううむ。

DVD『風の谷のナウシカ』のオーディオコメンタリーは、宮崎駿監督がどのようにリスペクトされているか、作品がどのように優れているかが、解説されていて、すばらしい。
『ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ』のなかでチラリと触れられていた幻の絵コンテ“巨神兵と王蟲の激突シーン”についても、それがどのようなものだったか語られている(めちゃくちゃ凄いイメージなのだ、これが)。

そして、結論として、宮崎駿監督はスケベだ。
男は基本スケベなのだ。
だが、ふつうの男は、表現するときスケベさが滑り落ちてしまう。ちゃんと掬い取れるだけの表現力がないだけだ。
宮崎監督は表現力のあるスケベだ。ってことで、今夜(2013年12月27日よる9時)金曜ロードSHOW『風の谷のナウシカ』(公式)お楽しみに!
あ、47分目、トルメキアの編隊に襲撃されてナウシカが「テトはやく!」って、胸の谷間にテトを退避させるシーンも、エロいです。(米光一成)