美しいサブマリン、大好きな投手だった。渡辺俊介がMLBに挑戦すると言う。
来季38歳、今季は0勝4敗、昨年も4勝どまりであり、すでに主戦力とはみなされていなかった。エースとして87勝を挙げた投手の挑戦を球団は快諾した。
しかし、MLB挑戦はかなり難しいと見るべきだ。
35歳以上でMLBに挑戦したNPB選手とそのデータ
参考までに江夏豊もつけた。通算成績は、MLB挑戦前年までのもの。帰国後の成績は含めず。

over35-NPB-MLB

江夏はミルウォウキーのキャンプに招待選手で参加し、最後の一人にまで残ったがロースター入りは果たせなかった。
この古い前例を別にすれば、9例がある。
いずれもNPBでは一流の成績を残した選手たちだ。ただ、MLB挑戦前年のNPBでの成績はまちまちである。

■MLB挑戦前年の成績
1.一線級の成績を残した投手→小宮山、高津、薮田、建山
2.トップクラスとは言えないもののまずまずの成績を残した投手→藪、高橋建、斎藤、高橋尚
3.全く振るわなかった投手→桑田、今回の渡辺もここに入る。

■MLBでの成績も3つのグループに分けることができる。
a.MLBで戦力として認められる成績を挙げ続けた投手→斎藤隆、高橋尚
b.何とか複数年在籍できた投手→高津、藪、薮田、建山
c.1年で撤退した投手→小宮山、桑田、高橋建




率直に言って、渡辺は3.-aの桑田真澄と同じパターンだと思う。当然ながらマイナー契約でキャンプでの競争を這い上がらなくてはならない。
しかし、MLBのロースターに載っても、活躍は厳しいところだろう。先発はまず考えられないが、渡辺は15試合しか救援投手の経験がない。
MLBの多くの救援投手は、打者を圧倒する速球を持っている。NPBによく見られる「かわす投球」の救援投手はあまり通用しない。サブマリンの渡辺はそういう意味でも厳しいだろう。
最近はNPB選手に対するMLBの評価は極めてシビアだ。そもそもマイナー契約であっても渡辺にオファーがあるかどうか疑問である。

小宮山、高津、藪田のようにMLBで成果を上げられなくても、帰国後その経験を活かしてさらにキャリアを伸ばした投手もいる。そういう目的での渡米もありだとは思うが、渡辺の場合どうなのか?

あの美しいフォームを、MLBの美しいスタジアムで見てみたいとは思うが、前途は厳しいだろうと言わざるを得ない。