NPBの統一球を巡る問題を調査するために、第三者委員会が設けられた。

その顔ぶれ

那須弘平 71歳 弁護士、元最高検判事
佐々木善三 60歳 弁護士 元京都地方検察庁検事正
米正剛 58歳 弁護士 一橋大学大学院国際企業戦略研究科講師 ニューヨーク州弁護士
那須氏と米氏が東大法学部、佐々木氏が中央大法学部。

そして桑田真澄がアドバイザーに加わった。

それにしても、NPBは高学歴の官僚や法曹関係者が大好きである。コミッショナーもそうだが、お堅い人ばかり選ぶ。権威主義的だ。
年齢を考えても、那須氏がキャップで、佐々木、米氏が部下的な役割をするだろうし、予定調和的に調査を進める可能性は高いと思う。

なぜここにジャーナリストを入れないのかと思う。玉木正之氏は無理でも二宮清純氏や軍司貞則氏など、スポーツ界に精通する人は多い。さらに、スポーツ力学の専門家なども入れるべきではないか。
単なる制度論、手続き論に終わらないかとも思う。

桑田真澄は、スポーツ界の在り方に疑問を呈する意見を常に発している。オピニオンリーダーの一人であり、適任だとは思う。
しかしながら、時折見せる「物分かりの良さ」も気になる。
「何が問題で、野球界がどうすればいいか、他の3名の方と調査していきたい。統一球自体は素晴らしいと思っている。こういうことになって心外だ。ファンをがっかりさせたのは野球界にとってピンチ。ピンチをチャンスに変えたい」とコメントしたが、年長者や体制に対してはっきりものが言えるかどうか、一抹の不安が残る。

例えば古田敦也のように、NPBと対峙した経験のあるOBを選ぶ手もあったと思う。

プロ野球選手会の松原徹事務局長は、
「NPBを変えるために、今のシステムを変えるための一番のチャンス。どこまで踏み込めるか。下田事務局長を辞任させて…、だけの第三者機関はいらない。コミッショナーの位置付けなどを含め、どういう構造にしていくか。とにかくシステムを明確にしてほしい」
とくぎを刺した。
選手会としては、選手からも幅広く聞き取りをしたうえで調査した情報を公表することなどを求めた要望書を提出する。当然だろう。

昨日、ようやく渡邉恒雄氏が口を開いた。
統一球問題について「事実関係は知らない」とした上で、「大臣が1人、不祥事で首になっても、総理大臣も辞めろということにはならない。コミッショナーに責任はなく、進退を問う必要は一つもない」と話した。

まさに、選手会の松原事務局長が危惧したとおり、下田氏を人身御供にして事件の幕引きを図ろうと考えている。
何も調査をしないうちからこういう発言をする。日本を代表する言論機関のトップという自覚は全くないのだろう。何様だ、と思ってしまう。
今回の事件に積極的に関与したかどうかは別にして、やはりこの老人が、NPB改革の最大の障害であるのは間違いない。

ともあれ、最悪の落としどころは、渡邉恒雄氏の言った通りの結論になることだ、ということがはっきりした。

事務局長の独断専行で統一球隠ぺい工作が進んだのだとしても、加藤コミッショナーのガバナンスの欠如は間違いない。大いに責任がある。

ファンや選手の期待に応えるためにも、お行儀のよい模範解答のような結論を出さないようにしていただきたい。

世間はNPBに自浄能力があるかどうか、大いに注目している。