オタク情報バラエティ番組「２．５次元てれび」が面白い。２．５次元ってなんだ
２１世紀のオタクって、こっちに向かってるのかー、と実感中です。
最近はニコ生やUSTREAMをはじめとした、ネットオンリーのテレビ配信が増えています。テレビは付けないけどネット配信はよく見るよ、なんて層の人も多いでしょう。
ぼくもその一人です。だってー。北海道は東京と基本的に放映時間も内容も違うしー！ アニメとか全然やらないしー！
ネット放送がんばれ。
定期的にやるんだから「○○のコーナー」とかないの？ わかりづらくない？ つまりどういう番組なんだってばよ？
これ、実際に見てみてわかりました。なるほどライブ感を活かすために、あえて何も書いてない。お約束ネタ的なのが挟まれているのでシナリオはきっちりあるようですが、何が飛び出すか視聴者にはわからない。
実際生放送なので時にグダったりもするんですが、企画はしっかり練られています。「オタク」という言葉が包含するありとあらゆるものの最新情報や、話題の情報を、色々な視点からフォーカスしていきます。
司会は声優の岩田光央と南條愛乃。毎回ゲストに、池澤春菜や桃井はることいった有名声優をゲストに呼んで進んでいきます。
あえてライブ感を出すための策。やりおるな。
さて、インターネット生放送テレビの醍醐味は、コメントが即時付けられること。ニコニコでおなじみですね。
『２．５次元てれび』でもこれができます。Twitterにも連動していて、それを拾いながら司会が進行していくのは、ネットテレビを見ている人にはお馴染み、そうでない人には珍妙な光景かもしれません。
興味深いのは、pixivとの連動企画として「ご当地ロボット＆パイロット Gibot」や「ご当地魔法少女 魔法少女大戦」というイラストコンテストをやっていること。実際に見てみるとわかりますが、都道府県にあわせたロボや魔法少女をpixivにタグつけて投稿すると、テレビの中で紹介される、というもの。
ここからさらに番組内で企画を進めて、更に発展させていくという参加型プロジェクト。
都道府県ネタは盛り上がりますねやっぱり。
んで、ここで引っかかるところがひとつ。
２．５次元ってなによ？
数学的専門用語としても存在しますが、スラングです。
２次元はアニメやイラスト、平面ですね。３次元は立体。なので、一つの見方としてフィギュア・３DCG・コスプレなどを指すことがあります。
しかし現在使われている２．５次元はもうちょっと広い。
オタク用語では３次元は「リアル」のことを指します
つまり、字義的な意味だけとると「アニメの世界とリアルの世界の中間地点」が２．５次元です。
わかりやすい存在が、声優さん。声はアニメそのままだから２次元、存在はリアルなので３次元。なので役を演じる声優さんは２．５次元。なるほど、だから声優さん主導の番組なのね。最近は本当に声優さんのラジオやネットテレビ増えました。
しかし、この番組を見ているともう一つ意味があるように感じられます。
それは「二次元を楽しむ感覚（二次元的）」を「人間同士で共有しよう（三次元的）」というもの。
二次元って、アニメやイラストを見るという、いわば受け身の行動です。虚構だから、そこにあるものを見るだけ。ゲームも含めたらレスポンスはありますが、それは機械的なものです。
しかしここにコミュニケーションが入ってくると三次元的……現実的になります。画面に「かわいい！」と書き込んだら、向こう側にいる人間が「かわいい！」という文字をコミュニケーションの言葉として受け取る。これは「現実」です。
そのあいだを取り持つ、という宇文を『２．５次元てれび』は狙っているようです。
もう一点「オタクカルチャー」という言葉にも引っかかりました。
「オタクカルチャー」って感覚的にわかるけど、どこからどこまでなんだろう？
単純に「マニア」という意味で捉えたら「古本オタク」「鉄道オタク」「歴史オタク」など色々ありますが、おそらくそこらへんをディープには扱わないでしょう。多分。
諸説ありますが、おそらく今回は「オタク」という言葉は、アニメ・ゲーム・マンガ・ラノベを中心とした二次元文化、という捉え方でしょう。
そこを中心に声優、ボーカロイド、ニコニコ文化、コスプレなども包含していく。ちょっとずつ２次元から３次元に近づいていってます。
それを「見て楽しむ」だけではなく「楽しさを共有していく」方向に、オタク文化全体が今シフトしはじめています。それがTwitterやpixivです。無論孤高の人として黙々とpixivに絵をアップする鬼才もいますが、基本的にはコメントをつけたり星で評価したりと双方向コミュニケーションです。
創作活動も、一方的な発信ではなく、コミュニケーション前提になっているものも増えています。
「オタクカルチャー」は今、アンダーグラウンドサブカルチャーだけではなく、ポップに明るく楽しく共有する部分が非常に大きくなりつつあります。
『２．５次元てれび』が拾っているのはまさにその部分。
アングラの香りは一切ありません。「オタク文化」に当たるであろうものを感覚的に、司会、制作スタッフと視聴者がコミュニケーション取りながら作り上げています。
見ている側にしてみたら、取り扱われている題材は「俺・わたし達」ってのが一番面白いところじゃないですか。俺達が楽しんでいるものを整理してまとめ、情報として発信し、俺達が受け取る。
先程も述べた「ご当地魔法少女 魔法少女大戦」なんかはpixivという舞台を用いて、作っているものは二次元、それを視聴者である人間と制作スタッフで「新しいものを作ろう」としていく。コミュニケーションの姿勢は三次元的です。
あくまでも「的」なんです。コミュニケーションツールがネットなのが最大のポイント。声優さんが「演じる人」なら、視聴者もリアルタイムで共有しよう、他の人を笑わせようと「視聴者を演じている」。
だから「２．５次元」という曖昧な表現がぴったりに見えます。
放送は第二・第四木曜日２１時から。気になる方は今までのアーカイブが見られますので、雰囲気はわかると思います。でもやっぱりリアルタイムがいいですよねこういうのは。
DMM.comのアカウントを取らないといけませんが、高画質で見られますのでぜひ。
ついでに思い切って、声優さん達に質問してみよう。共有しちゃおう。
（たまごまご）
