高速道路を走っていて、何気なく隣のレーンを走る大型トレーラーに目をやると、一番後ろの軸以外を浮かせて走行しているクルマを見ます。


実はこれ、リフトアクスル機構というエアサストレーラーに装備されている機構。積載物が無い場合などの時、エアーの力で使用しない軸を引き込み浮かせる仕組み。


なぜこのような機構が付いているのでしょうか?
一つは、タイヤやブレーキシューの寿命を延ばすため。
二つ目は、タイヤを浮かせる事で転がり抵抗を減らし、燃費向上を向上させるため。
三つ目は、不要なタイヤを浮かせる事で路面へのダメージを減らすため。


そしてもう一つはなんと、タイヤを浮かせる事で特大車から大型車扱いになり、高速道路の料金が約40%も安くなるのです。


NEXCO中日本のホームページによれば、大型車と特大車の種類の内訳は以下の通り。


【大型車
•普通貨物自動車
車両総重量8t以上又は最大積載量5t以上で3車軸以下、及び車両総重量25t以下(ただし、最遠軸距5.5m未満又は車長9m未満のものについては20t以下、最遠軸距5.5m以上7m未満で車長が9m以上のもの及び最遠軸距が7m以上で車長9m以上11m未満のものについては22t以下)かつ4車軸
•バス
乗車定員30人以上又は車両総重量8t以上の路線バス及び車両総重量8t以上で、乗車定員29人以下かつ車長9m未満のもの
•トレーラ
けん引普通車と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引中型車と被けん引自動車(1車軸)との連結車両及び けん引大型車(2車軸)と被けん引自動車(1車軸)との連結車両


【特大車】
•普通貨物自動車
4車軸以上で、大型車に区分される普通貨物自動車以外のもの)
•トレーラ
けん引中型車と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引大型車と被けん引自動車との連結車両で車軸数の合計が4車軸以上のもの及び特大車がけん引する連結車両


【大型特殊自動車】
•バス
乗車定員30人以上のもの、または車両総重量8t以上で車長9m以上のもの(いずれも路線バスを除く)



つまり、軸を浮かせて接地させなければ1軸と見なされない、ということになります。


これにより、例えば東名高速道路の東京ICから東名名古屋ICまで新東名経由で行くと、大型車の場合11300円、特大車だと18750円となり、リフトアクスルを使用する事で片道7450円の節約になります。


特に帰り道は空荷になる事の多いタンクローリー等では大きな差となります。


ここで更なる疑問が湧いてきます。
行きと帰りで料金種別の代わってしまうリフトアクスル機構付トレーラーですが、ETCはどうなるのでしょう?


実はETCレーンには地中センサーが埋め込まれており、それにより大型か特大かを判定しているそうです。


また豆知識として、トラクター(トレーラーのヘッド部分)のみで走行する場合、2軸のタイプであれば通行料金は普通自動車になるそうです。(ETCにて2軸車と3軸車の判定が出来ないレーンがあり、その場合は有人レーンに入る必要があるそうです。)


ちょっと意外ですね。思わず目に留まってしまうリフトアクスル機構ですが、運転中は脇見をせず安全運転に集中しましょう。


(井元 貴幸)