(2)ドイツ

 今大会では1次リーグ全敗に終わったが、ニカラグア・韓国・オーストラリア相手に善戦し、一定の成果を挙げたドイツ。西ヨーロッパはおろか、大陸全土を見渡しても指折りと言えるほど、ここ数年国内のプレー環境が整備されてきた。まだ下位レベルが多いながらも、マイナーで確実に結果を残す若手も出ており、強化の上でいいサイクルができていると言ってよい。打撃力は十分通用するところを見せたので、後はディフェンス面が課題か。投手陣にも打線にも、もう少しアクセントが欲しい。

(3)スペイン

 昨年はヨーロッパ選手権で惨敗を喫したが、本来は国際大会で勝てる要素を数多く備える国。デウィス・ナバーロ(プエルトクルーズ・マーリンズ)、ダニエル・サンチェス(C.B.サンボイ)を中心とするセンターラインは、非常に軽快且つ堅守。攻撃面でも、一発頼りというよりは小技でどんどん仕掛けていくタイプで、一発勝負に向いていると言える。それだけに、一度緊張が切れるとたちまち大量失点してしまう、ラテン系特有の豆腐メンタルだけが、唯一にして最大の欠点か。

(4)チェコ

 ヨーロッパの中でも、おそらく3本の指に入るほど強化に熱心な国。毎年のように何らかの国際大会に出ており、場数という意味ではキューバやオランダにもそれほど見劣りしない。ドイツにとっての課題である、個性派の投手を数多くそろえており、その意味では格上相手の試合において、継投では優位に働くかもしれない。昨年まで、国内の戦いは1強多弱状態だったが、今年は競争状態も生まれてきた。国民の間でも、比較的国内リーグや代表への関心が高いことも、かなりのプラス要素と言える。

・アジア

(1)フィリピン

 極東アジア勢以外ではNo.1の実力を持つ、アジアの古豪。北京五輪アジア最終予選で、日本相手に登板したジョンジョン・ロブレス(元オストラヴァ・アローズ)など、伝統的に変則左腕の好投手が数多く生まれる傾向にある。アジアBグループの中では断トツの投手力を誇り、ここに両親がフィリピン人の150km右腕、ジェノ・エスピネリ(ジャイアンツ)らのフィリピン系選手が加われば、サプライズを起こせる可能性も。ただし、格下相手でも大差をつけられないほどの貧打ぶりは大きな課題。

(2)パキスタン

 今年自ら創設した南アジア選手権を制した、南アジア球界の盟主。代表選手のほとんどが軍人や警察官であることから、身体能力と規律の高さは大きな魅力。野球選手は日本の社会人野球のように、プレーに集中できる環境が整っているなど、プレー環境は割と恵まれており、代表キャプテンの150km右腕、イーサン・ウラーが韓国の球団と練習生契約するなど、好選手も出てきている。ただ、守備面はかなり残念なことになってしまっているので、より上位に行くならまずは基礎を叩き込むことから。

・中南米

(1)ブラジル

 日本のNPBや社会人でプレーする選手たちと、アメリカのマイナーでプレーする面々という、2つの潮流を持つ国。松元ユウイチや曲尾マイケ(ヤクルト)など、(元)日系人選手が大半かと思いきや、近年は非日系のマイナーリーガーも少なくない。ただし、マイナー勢は全体的にまだ下位レベルでのプレーが多いので、日本で主力・準主力としてプレーする選手たちが引っ張ることになるのが濃厚。ブラジルでは憲法上、国籍離脱が禁止されているため、ユウイチら帰化日本人にも代表資格はある。

(2)アルゼンチン

 元イタリア代表の主砲、マックス・ディビアーゼ(現所属不明)が代表の主軸を任されるなど、イタリアとの関係が非常に強い国。昨年のサウスアメリカンゲームズにおいて、強豪オランダ領アンティル(現キュラソー)を破り3位に輝くなど、近年成長が著しい。国土の広さ故に全国リーグはなく、首都ブエノスアイレス周辺で展開されるリーガ・メトロポリタンが、事実上トップリーグとしての役割を担っている。その他、MLB傘下やスペインでプレーする選手も。国内のテレビ番組で、代表チームが紹介されたことがある。