連続試合出場が途切れた金本知憲だが、以後もスタメンで使われ続けている。休んだのは4月22日だけ。あとは6番左翼で出場し続けている。試合終盤には交代することも多いが、ほぼレギュラー。しかし安打は13試合で5本だけである。


金本は強烈なスイングが持ち味だ。強靭な体幹を軸として猛烈な勢いでバットが旋回する。打球は直線的に右翼席に突き刺さるか、狭い一二塁間を速いゴロで抜けていく。もちろん流し打つ技術も持ってはいるが、金本が「引っ張る打者」であるのは間違いない。

本人もそのイメージがあるのだろう。一塁手が処理した打球が11もある。本人としては、ライト前に抜けているつもりが、悲しいかなゴロやフライとなってミットに収まっているのだ。スイングスピードが落ちているか、芯でボールを捕らえることができていないか、イメージと現実は大きくかい離しているのである。彼にとっては統一球の問題も大きいかもしれない。

金本は卓越した選球眼の持ち主だったが、2009年88あった四球が昨年39に激減。そして今季はまだ2つである。焦ってボール球に手を出すケースも増えているだろうが、同時に投手もあまり警戒しなくなったということだろう。

今季、得点圏で金本は10回打席に立っているが、安打はわずかに1。打点は2。打線では明らかに穴になっている。


5勝7敗1分の阪神にとって、調子が上がらないベテランを起用し続ける余裕はないはずだ。今季はまだ桜井広大、葛城育郎、狩野恵輔といった外野手が試合に出ていない。調整具合もあるだろうが、彼らに機会を与える必要があると思う。

スポーツ新聞によれば、5月17日からの交流戦でも金本は左翼を守ると言う。DHというもう1つの打席が生れる交流戦は、金本を使いつつ他の外野手にも機会を与えることが出来る好機なのだが、球団は何を意地になっているのだろう。また、これを美談仕立てでしか報道できないスポーツ新聞は、ジャーナリズムの名に値しないと思う。

ベテランが、休みながら使われているうちに力を回復させるケースは良くある。シーズン後半の大事な時に良い働きをすることも多い。金本には成績に見合ったポジションをあたえるべきだ。チームリーダーがいないわけではなく、今年は新井貴浩という立派な後継者も育っているのだから。